研究概要 |
本研究では環境に優しい非鉛圧電材料の合成を行っており,高い圧電性,電気機械結合定数,キュリー点を持つニオブ酸カリウムナトリウム(K,NN:(KNa)NbO_3)セラミックスに注目している. 通常,固相反応法を用いて原料となるセラミックス粉末を得るが,水熱合成法を用いて粉末の合成を行えば,より高品質な粉末得ることができる.水熱合成法とは圧力容器を用いて,高温・高圧・強アルカリの条件での水溶液イオン反応のことである.特徴として,(1)'200℃程度で低温合成ができる.(2)'炭酸カリウムを使わずに合成できるため,原料を精密に秤量できる.(3)'KNbO_3中のNbと(K,Na)の組成比は水溶液中で自動的に1:1となる.(4)'水溶液中のイオン反応のため微細な粉末を得ることができる.本研究では、高品質水熱合成粉末を利用した高い圧電特性を持つKNNセラミックスの合成を目的とする. 本研究では今までに,KNNの水熱合成条件と分極条件等の改善により圧電定数d_<33>=130pC/N,Qm=50を達成した.しかし,工業応用上はd_<33>>200pC/N,Qm>200が必要である.そこで本研究では初めに圧電定数d_<33>の改善を行うため,(K,N)NbO_3にLiNbO_3添加物を加えることでMPBを狙い,組成としての圧電特性を向上させた. 水熱合成(K_<0.48>Na_<0.52>)NbO_3にLiNbO_3を添加し(Li_x(Na_<0.52>K_<0.48>)_<1-x>)NbO_3セラミックスを合成した.xが0.06以上の時,c/a値が1.016から1.024の値を示したため,結晶構造が結晶構造が斜方晶系から正方晶系に変化するMPBであることがわかった.また,MPBで圧電定数の向上が確認され,d_<33>=203pC/Nに達した.
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