研究概要 |
本研究億癌細胞転移阻害物質であるUTKO1の作用機構の解明を基に、標的であるアダプタータンパク質14-3-3ζの機能を解明すること、及び強力な癌細胞転移阻害剤や抗癌活性化合物を開発することを目的として行われた。これまでに合成されたUTKO1は4種類のジアステレオマー混合物であったため、ジヒドロ-α-イオノンを不斉合成し、それらを用いて別途調製したアルデヒドとのNHKカップリングを行い、生じた水酸基のジアステレオマーを分割してのUTKO1全ジアステレオマーを純粋に合成した。合成した各ジアステレオマーはそれぞれ生物活性試験に付され、4種類のジアステレオマーはそれぞれが同程度に癌細胞遊走阻害活性を有することが明らかになった。更にUTKO1の細胞内局在を観察することを目的に、蛍光標識体の合成も行った。UTKO1のアルデヒド部位に別途調製したヒドロキシアミノ基を有するリンカーを付加してオキシムとし、続いて蛍光体を連結して合成を完了した。これらのUTKO1ジァステレオマー及び蛍光標識体は共同研究者の手に渡っており、標的タンパク質14-3-3ζとの共結晶化研究、並びに14-3-3ζの機能解析研究が進行中である。現在UTKO1誘導体の合成も現在行っており、近いうちに数種類の誘導体が合成される予定である。一方、抗癌活性を有する新規天然物の合成にも着手している。cyclohexane-1,4-dioneのモノエチレングリコール保護体を出発原料に、エンダースの不斉アルキル化を二度行ってC2対称な重要中間体を不斉合成し、保護基を除去した後にモノカルボキシル化、メチル化、アリル化によって本中間体の脱対称化を行うと共に、不斉四級炭素の構築も行った。現在、全合成に向けた更なる検討が進行中である。
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