研究概要 |
短い時間間隔で噴火を繰り返す火山での噴火過程を明らかにするため,ストロンボリ式噴火を対象としたガススラグ流による山体変形の時間発展を求めるプログラムを構築した.構築したモデルを用いて火山内部のスラグの初期深さや大きさといったパラメータと地表の変位量やスラグの上昇時間との関係を数値計算によって調べた.イタリアのフィレンツェ大学へ3ヶ月間滞在し,ストロンボリ火山において長年地球物理学観測を行なっているRipepe博士らと実際の観測データの特徴について議論を行うことで,モデルの初期条件の与え方の改良を行った. 爆発的噴火時の山体変形現象を捉えるため,鹿児島県,諏訪之瀬島の火口近傍に設置した6台の傾斜計によって噴火に伴う傾斜変動の観測を行った.これまでの観測により十数回の噴火に伴い傾斜変動記録を得ることができた. 観測で得られた傾斜変動データと噴火過程の数値モデルの計算結果の比較を精度よく行うため,山体地形の効果を取り入れて山体変形量を求めるプログラムを境界要素法に基づいて作成した.作成したプログラムを元に,フィレンツェ大学のRipepe博士より頂いたストロンボリ火山の数値標高モデルとストロンボリ火山での傾斜変動データを用いて,火山内部の圧力源の深さと大きさの推定を行った.その結果,山体地形の効果を取り入れた場合,地形効果を考慮しない場合に比べて圧力源の深さは浅い場所に,大きさは半分程度の値に求められることが分かった。
|