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2011 年度 実績報告書

RS時空を用いた、超対称性の破れと湯川結合階層性の模型構築

研究課題

研究課題/領域番号 11J03599
研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

山田 敏史  総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード超対称性 / RS時空 / フレーバー物理
研究概要

私は、RS時空中に物質場が存在し、IRブレーン上に超対称性の破れのソースおよびヒッグス場が存在するというセットアップの上で、最小超対称標準模型(MSSM)を構築した。この模型では、RS時空中の物質場の分布により、湯川結合の階層性が自然に説明される。またこの模型では、超対称性を破るゲージーノ質量項がまず発生し、それがループ効果を通じて物質場のスカラーパートナーの質量を生成する。一方で、IRブレーン上の高次項を通じても物質場のスカラーパートナーの質量は生じる。後者はフレーバーを破る中性カレント(FCNC)過程を誘発するが、このFCNCの大きさと現在の実験データとを比較して、現在の実験的制限に矛盾せず、かつMSSMの本来の動機であるヒエラルキー問題の解決に十分なほど軽い超対称性粒子の質量スペクトルが存在することを示した。さらに、この模型の予言として、長寿命で重い荷電粒子が存在し、それが他の模型と違って電子やミューオンのスカラーパートナーから構成されるということを明らかにした。
私はさらに、上記の研究の発想を逆転して、一般にMSSMがRS時空上に存在しているとき、超対称性粒子のスペクトルの測定からRS時空の存在を知ることができるかどうかについても研究した。RS時空中の物質場の分布は湯川結合の階層構造と関係づけられている。一方で、IRブレーン上の高次項におけるフレーバーの破れも、この分布と関係している。それゆえ、もしRS時空のセットアップが正しければ、物質場のスカラーパートナーのフレーバー混合比は、RS時空を通じて、湯川結合の階層構造とつながっていることになる。私は、現在計画されている電子・陽電子リニアコライダーを用いて、SU(2)シングレットの物質場のスカラーパートナーを生成し、その稀崩壊モードを観測すれば、RS時空の模型に特徴的なシグナルを捉えることができることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RS時空上の超対称性と湯川結合に関する模型を構築しただけでなく、超対称性粒子を通じた湯川結合階層性の起源の解明、という新しい研究の枠組みを提唱することができた。この枠組みは、一つの模型という範囲を超えた、今後の素粒子物理の指針となりうる。

今後の研究の推進方策

超対称性粒子を通じた湯川結合階層性の起源の解明、という枠組みを発展させる。一つの方向は、加速器実験、とりわけ現在進行中のLHC実験でこうした研究ができるかどうかを詳しく検討することである。もう一つの方向は、超対称性模型とは別のTeVスケールの新しい物理の模型に、この枠組みを応用することである。すなわち、超対称性粒子とは別の新粒子のフレーバー構造を通じて、湯川結合階層性の起源についての情報を得られるかどうか明らかにすることである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Observing Signals of the Bulk Matter RS Model through Rare Decays of SUSY Particles2012

    • 著者名/発表者名
      Toshifumi Yamada
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 85 ページ: 016007-1-016007-20

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.85.016007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gaugino mediation combined with the bulk matter Randall-Sundrum model2011

    • 著者名/発表者名
      Toshifumi Yamada, Nobuchika Okada
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 84 ページ: 03500-1-035005-18

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.84.035005

    • 査読あり
  • [学会発表] Iso-soin Violating Dark Matter at the LHC2012

    • 著者名/発表者名
      Toshifumi Yamada
    • 学会等名
      GUT2012
    • 発表場所
      京都大学基礎物理学研究所
    • 年月日
      2012-03-16
  • [学会発表] Iso-soin Violating Dark Matter at the LHC2012

    • 著者名/発表者名
      Toshifumi Yamada
    • 学会等名
      KEK-PH2012
    • 発表場所
      KEK
    • 年月日
      2012-02-27
  • [学会発表] Testing Bulk Matter RS Model through Rare Decays of Scharm and Smuon2011

    • 著者名/発表者名
      山田敏史
    • 学会等名
      日本物理学会2011年秋季大会
    • 発表場所
      弘前大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] Testing the bulk matter RS model through flavor-violating decays of smuon and scharm2011

    • 著者名/発表者名
      Toshifumi Yamada
    • 学会等名
      SUSY2011
    • 発表場所
      Fermilab
    • 年月日
      2011-08-28
  • [学会発表] 5D MSSM on RS Background2011

    • 著者名/発表者名
      Toshifumi Yamada
    • 学会等名
      Pheno2011
    • 発表場所
      ウィスコンシン大学マジソン校
    • 年月日
      2011-05-09

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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