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2013 年度 実績報告書

腫瘍幹細胞の概念を導入した動物のリンパ系腫瘍における抗癌剤耐性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J03651
研究機関東京大学

研究代表者

富安 博隆  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード犬 / 腫瘍 / 腫瘍幹細胞 / エピジェネティクス
研究概要

本研究は抗癌剤耐性機構を犬のリンパ系腫瘍に焦点を絞って「腫瘍幹細胞説」と「エピジェネティック制御」という新しい観点から解明することを目的とした。前年度までの研究成果を基に今年度は薬剤耐性因子であるABCB1遺伝子の発現制御機構としてMAPK経路の活性化に着目し、薬剤によるMAPK経路活性化状態の調節を介したABCB1遺伝子発現量調節の実現を目的として研究を遂行した。MAPK経路を含む細胞内シグナル伝達系を調節する効果をもつ抗癌剤として、人医学領域においてP-gpの発現低下効果が報告されているAkt経路阻害剤ペリフォシンに着目した。まず、犬のリンパ系腫瘍細胞株であるGL-1, CLBL-1, UL-1およびEmaを用いてペリフォシンの抗腫瘍効果を検討したところ、GL-1とUL-1において、人医学領域で臨床的に達成される血中濃度(20μM)に比べて低いIC50値が得られ、これらの細胞株はペリフォシンの抗腫瘍効果に感受性であることが明らかとなった。次に、P-gp発現が認められたUL-1とEmaの2株を用いてペリフォシンによるABCB1遺伝子発現量調節効果を検討した。その結果、UL-1においてはペリフォシン添加後、ABCB1遺伝子のmRNA発現量が低下すること、およびその低下にはJNK経路の活性化が関与していることが明らかとなった。加えてペリフォシンの添加によって腫瘍細胞の細胞外への薬剤排出能が低下すること、さらには抗癌剤の一種であるビンクリスチンに対する感受性が上昇することも明らかとなった。また前年度に引き続き、これとは異なるABCB1遺伝子の発現制御機構としてDNAメチル化というエピジェネティクスに着目し、リンパ腫に権患した犬の患者から採取した腫瘍細胞を用いて解析を行った。その結果、犬のリンパ腫細胞における薬剤耐性獲得にはDNAメチル化による遺伝子発現制御機構の変化が関与している可能性が低いことが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Epigenetic regulation of the ABCBI gene in drug-sensitive and drug-resistant lymphoid tumour cell lines obtained from canine patients.2014

    • 著者名/発表者名
      Tomiyasu, H., Goto-Koshino, Y., Fujino, Y., Ohno, K. and Tsujimoto. H.
    • 雑誌名

      The Veterinary Journal

      巻: 199 ページ: 103-109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The regulation of the expression of ABCG2 gene through mitogen-activated protein kinase pathways in canine lymphoid tumor cell lines.2014

    • 著者名/発表者名
      Tomiyasu, H., Goto-Koshino, Y., Fujino, Y., Ohno, K. and Tsujimoto, H.
    • 雑誌名

      Journal of Veterinary Medical Sciences

      巻: 76 ページ: 237-242

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulations of ABCB1 and ABCG2 expression through MAPK pathways in acute lymphoblastic leukemia cell lines.2013

    • 著者名/発表者名
      Tomiyasu, H., Watanabe, M. Sugita, K., Goto-Koshino, Y., Fujino, Y., Ohno, K., Sugano, S. and Tsujimoto, H.
    • 雑誌名

      Anticancer Research

      巻: 33 ページ: 5317-5323

    • 査読あり
  • [学会発表] Modulation of the expression of ABCB1 and LRP genes by perifosine in canine lymphoma cell lines2013

    • 著者名/発表者名
      富安博隆、後藤(越野)祐子、藤野泰人
    • 学会等名
      Veterinary Cancer Society Annual Conference
    • 発表場所
      ミネアポリス、アメリカ
    • 年月日
      2013-10-18

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公開日: 2015-07-15  

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