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2011 年度 実績報告書

膜翅目昆虫における社会的強制力とコロニーサイズの関係

研究課題

研究課題/領域番号 11J03715
研究機関鹿児島大学

研究代表者

下地 博之  鹿児島大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード社会性昆虫 / 繁殖分業 / 順位行動ネットワーク / ワーカーポリシング
研究概要

ミツバチやアリなどの真社会性膜翅目昆虫において繁殖分業はワーカーの利他行動によって支えられている.最近の研究によってワーカーの利他行動は,ワーカーポリシングによって強制された行動であると考えられている.単女王性・女王一回交尾種である日本産トゲオオハリアリではワーカーポリシングの強度がコロニーサイズ依存的に変化する事が分かっている.具体的にはコロニーサイズが小さい時に比べて大きくなるとワーカーポリシング強度が弱くなるしかしながら,コロニーサイズが大きくなった時にコロニーの繁殖分業がどのようなメカニズムで維持されているのかは分かっていない.
ネットワークはノード(頂点)とノードを結ぶリンク(枝)で構成されているが,重要なのはハブと呼ばれる多くのリンクを持つノードの存在である.例えば、生態系ネットワークで言うところのキーストーン種の存在である.少数のハブ以外の大多数のノードはごくわずかなノードとしか結びついていないような性質をスケールフリーと呼び,これがネットワークに頑健性をもたらす事が知られている.トゲオオハリアリでは,コロニーサイズが大きくなると小さいときに比べて順位行動の頻度が増加する事が知られている.順位行動とは自身の繁殖を独占するために他個体の繁殖を利己的に抑制する行動である.本種における順位はアルファと呼ばれるワーカーを頂点とし,その下にdominantと呼ばれる順位行動をしたりされたりするワーカー達,その下にsubordinateと呼ばれる順位行動をされるだけワーカー達,最後に順位行動には参加しないワーカー達で形成されている.本研究では順位行動によって形成されるネットワークが,繁殖分業の維持にどのように影響するのか議論するために,コロニーサイズと順位行動ネットワークの関係を調べた.さまざまサイズのコロニー(ワーカー数の異なるコロニー)を用意して全個体マーキングを施し順位行動の観察とネットワーク解析を行った.その結果,コロニーサイズが大きくなるにつれて大きな次数を持つ個体が増える事が分かった.この結果は,コロニーサイズの増加と共に他個体の繁殖を利己的に抑制するようなハブ個体が増える事が示唆するものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

順位行動のネットワークのデータはほぼ集まっており.この一部は第59回日本生態学会において口頭発表を行った.データをまとめ論文執筆を行える状況である.

今後の研究の推進方策

今後もこれまでと同様にトゲオオハリアリを採集してきて個体マーキングを施し行動観察をメインに研究を推進していく予定である.また,同時に,得られた結果を取りまとめ国際誌へ論文を執筆する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Paternally inherited alleles in male body parts of an ant (Diacamma sp.) sex mosaic : implication for androgenetic male production in the Hymenoptera2012

    • 著者名/発表者名
      Shigeto Dobata, Hiroyuki Shimoji, Hitoshi Ohnishi, Eisuke Hasegawa, Kazuki Tsuji
    • 雑誌名

      Insectes Sociaux

      巻: 59 ページ: 55-59

    • DOI

      10.1007/s00040-011-0187-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Egg discrimination by workers in Diacamma sp.from Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Shimoji, Yuri Fujiki, Ryohei Yamaoka, Kazuki Tsuji
    • 雑誌名

      Insectes Sociaux

      巻: 59 ページ: 201-206

    • DOI

      10.1017/s00040-011-0205-7

    • 査読あり
  • [学会発表] 日本産トゲオオハリアリにおけるワーカーの卵識別2012

    • 著者名/発表者名
      下地博之, 藤木悠里, 山岡亮平, 辻和希
    • 学会等名
      第56回応用動物昆虫学会
    • 発表場所
      奈良,近畿大学
    • 年月日
      20120328-20120329
  • [学会発表] トゲオオハリアリにおける順位行動ネットワークとグループサイズ2012

    • 著者名/発表者名
      下地博之, 阿部真人, 嶋田正和, 辻和希
    • 学会等名
      第59回日本生態学会
    • 発表場所
      滋賀,龍谷大学
    • 年月日
      2012-03-19
  • [学会発表] Colony-size dependence of worker policing in the monogynous and monandrous ant Diacamma sp.from Japan2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Shimoji, Tomonori Kikuchi, Hitoshi Ohnishi, Kazuki Tsuji
    • 学会等名
      第27回個体群生態学会
    • 発表場所
      岡山,岡山大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-16
  • [学会発表] コロニーサイズ依存的に変化する社会的強制力2011

    • 著者名/発表者名
      下地博之, 菊地友則, 大西一志, 辻和希
    • 学会等名
      Animal 2011
    • 発表場所
      東京,慶應大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-08

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公開日: 2013-06-26  

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