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2012 年度 実績報告書

ZAP70機能異常による自己免疫発症機序

研究課題

研究課題/領域番号 11J03737
研究機関大阪大学

研究代表者

田中 淳  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特別研究員(PD)

キーワード自己免疫 / ZAP70 / 関節炎
研究概要

我々の免疫系は、病原微生物から生体を防御するために、遺伝子を再構成し、多様な抗原受容体をつくりだす。これらの受容体を発現したT細胞は多種多様な病原微生物に効果的に対応するが、一方で正常自己組織に対する異常免疫応答として様々な自己免疫疾患の主因となっている。本研究では、T細胞受容体のシグナル伝達に不可欠なZAP70分子の変異により自己免疫疾患を自然発症する複数のマウスモデルを用い、自己免疫疾患発症機序の解明と免疫自己寛容の理解を目的とした。
ZAP70分子に変異を持つマウスのうち、ZACマウスは自己免疫性関節炎と腸炎を自然発症し、SKGマウスはマンナン投与など自然免疫の活性化により関節炎を発症するが、同様の変異を有する375マウスは自己免疫疾患を発症しない。これらZAP70分子変異体の生化学解析や分子動力学シミュレーションにより、ZAP70分子とT細胞受容体との結合親和性が一定のレベルに減弱すると関節炎の発症が誘導され、さらなる減弱では発症しない。また、この関節炎惹起性のレベルでは、胸腺でのT細胞の発生・分化に於いて、自己反応性の高いT細胞受容体を選択し、同時に自己免疫反応を抑制する制御性T細胞の選択が著しく低下している。さらに、関節炎を発症するマウスでは、これらのT細胞が高い増殖機能を示し、関節炎を発症しないマウスでは、増殖機能が欠如していることが明らかになった。これらの結果は、T細胞受容体シグナル減弱による自己免疫疾患発症機構について、自己反応性T細胞の選択、胸腺からの制御性T細胞の選択阻止、および末梢での増殖機能の必要性を示唆し、同時にこれらの条件を満たすT細胞受容体シグナルの減弱レベルが重要であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度は、複数の自己免疫疾患発症マウスを比較解析することにより、自己免疫発症機序の解明に有用な結果を得た。

今後の研究の推進方策

今後は引き続き研究計画と遂行する。
さらに、作製された自己免疫疾患マウスを用い、免疫自己寛容とその破綻により惹起される自己免疫発症機序の分子基盤の解明にも重点を置く。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] T cell receptor stimulation-induced epi genetic changes and Foxp3 expression are independent and complementary events required for Treg cell development2012

    • 著者名/発表者名
      大倉永也
    • 雑誌名

      Immunity

      巻: 37 ページ: 785-799

    • DOI

      10.1016/j.immuni.2012.09.010

    • 査読あり
  • [学会発表] Spontaneous development of autoimmune arthritis and colitis in ZAC mice2012

    • 著者名/発表者名
      田中淳
    • 学会等名
      第41回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2012-12-05

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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