研究課題/領域番号 |
11J03823
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
プラーニーナラーラト タネート 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | バイオインフォマティクス / 可視化 / Google Maps / 生命ネットワーク / グラフクラスタリング / Cytoscape |
研究概要 |
本研究の最終的な目標である大規模で複雑な生命ネットワークの解釈のためには、これまでに開発してきた対話的・マルチスケールグラフナビゲーション技術の有効性をより高める必要がある。例えば、これまでの技術ではネットワーク全体や個々のネットワーククラスタに対して"ズーム(拡大、縮小)"によるナビゲーション・可視化が可能であったが、複数のクラスタにまたがる領域や一部の領域について可視化することはできなかった。そこでH23年度の研究では、2つの機能re-centeringおよびnamespace weight adjustmentの開発および実装を行った。Re-centering機能は、指定されたノードやクラスタからネットワーク上においてある一定の距離の範囲にある全てのノードを同じクラスタに属するかに関係なく集め、これを直感的に可視化する機能である。一方、Namespace weight adjustment機能は、ノードに付与された様々な種類の属性情報のカテゴリー(ネームスペース)の変更を通して、ネットワークナビゲーションの方向性を自在に変更する機能である。例えば、遺伝子機能データであるGene Ontologyがノードに付与されている場合、biological processというネームスペースに属するタームのみを考慮して可視化したい場合に、この機能を通して実現できる。さらにH23年度は、改良されたシステムを出芽酵母のタンパク質相互作用ネットワークデータベースであるYeastNet v.2に適用し、今回開発した手法が大規模ネットワークデータから新しい生物学的な知識を得るために実際に有効であることを確認した。本手法はバイオインフォマティクス分野の中心的な査読付き国際学術誌であるBioinformatics誌に掲載され、査読者からの評価も良好であった。現在は、ネットワーク可視化・解析プラットフォームとしてデファクトスタンダードとなっているCytoscape上で本手法を用いることができるプラグインの開発および機能追加を行い、本手法がより幅広い生物学研究者にとって有用なものになるようさらなる研究開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究提案通りre-centeringとnamespace weight adjustmentの各機能の開発および実装に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はもう一つの目的である、文献から抽出した情報による大規模ネットワークデータへの本手法の応用を行う。すなわち、テキストマイニングにより文献データベースPubMedから抽出した文献ネットワークデータに対して、開発したグラフナビゲーション技術を応用する。順調であればグラフナビゲーションにおける知識発見に関する研究も行う。
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