研究課題/領域番号 |
11J03854
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
坂上 直子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | Progressive condylar resorption / 顎変形症 / 力学的負荷 / ラット下顎頭 / 骨延長術 / マイクロCT / 破骨細胞 / 下顎頭軟骨 |
研究概要 |
顎矯正手術は、顎変形症患者に対して手術により顎骨を移動させる治療法である。下顎後退症患者に対する下顎骨前方移動術後に、著明な後戻り傾向を示す症例があるが、その原因の一つとして下顎頭の著しい吸収像を特徴とするProgressive condylar resorption (PCR)が挙げられる。PCRには、下顎頭部にかかる力学的負荷と負荷に対する骨の許容力が関与していると考えられる。本研究の目的は、下顎骨前方移動術に相当するラット下顎骨延長モデルを用いて、下顎頭への力学的負荷によって生じる下顎頭の形態学的ならびに組織学的変化を明らかにすることである。 10週齢のウィスター系雄性ラットを用いて、麻酔下に右側下顎骨体部で骨切りを行い、同部に骨延長装置を装着した。12時間につき0.175mmを1日2回、10日間かけて3.5mm延長したのち、延長終了後1日目の群、7日目の群にわけて、骨切りを行わなかった対象群と比較した。脱灰後、パラフィンに包埋し、切片を作製してHE染色、酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)染色、アルカリフォスファターゼ(ALP)染色を行った。マイクロCTにおいて延長側の下顎頭には吸収性の形態変化が認められ、特に延長終了後7日目の群において下顎頭前方部の変化が著しかった。HE染色では、延長側において下顎頭軟骨層の厚みの減少、軟骨細胞層の乱れ、軟骨直下の骨髄腔の拡大が認められた。また、マイクロCTにおいて著明な形態変化が認められた下顎頭前方部では強いTRAP陽性を示す破骨細胞が多数存在していた。一方、非延長側の下顎頭は対象群とほぼ同じ形態と組織像を呈していた。 ラット下顎骨延長モデルでは、下顎骨延長による顎関節への力学的負荷の影響により、下顎頭前方部の骨吸収と下顎頭軟骨の形成異常をもたらすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の年次計画では、下顎頭部にかかる負荷と下顎頭形態変化との関連をラット下顎骨骨延長実験モデルを用いて検討することを目標とした。下顎骨骨体部の骨延長によって下顎頭部に負荷をかけた時、下顎頭のどの部位にどのような組織学的変化を生じるのか検討したところ、マイクロCTおよび組織学的検索において特に下顎頭前方部に形態学的な変化が認められた。また、その形態的変化は骨延長装置による負荷のかかる期間が長いほど著明に認められた。以上の事より、ラット下顎骨骨延長実験モデルは、PCRのモデルとして応用可能であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
骨粗鬆症モテルフットを用いて下顎骨延長実験を行い、骨質に問題がある状態で下顎頭部に負荷をかけた場合、コントロール群と比較して下顎頭部に吸収性骨変化がおきやすいかどうかを明らかにする。また、この結果をもとに、PCRに対する有効な対策法を確立するため、PTH(1-34)間歇投与をPCR発症モデルに行い、マイクロCTを用いて下顎頭の形態変化と、組織学的・免疫組織化学的検索を行う。
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