エネルギー資源の問題が叫ばれる今日、人工光合成に関する研究が急速に高まっている。特に自然エネルギーでは太陽光エネルギーと水を利用したエネルギーサイクルへの関心は著しく、無機物質、有機物質を問わず様々な機能性分子が開発されている。これに対し、本研究では、複数の機能性分子が必須な人工光合成システムの実現に向け、光エネルギーの吸収波長を考慮した材料の階層構造化をねらう。本年度は渡航先の研究室において、材料自体に周期構造を導入することで、光導波路による光エネルギーの高吸収化をはかった。また、光増感部位を架橋点とした高分子網目構造を設計・作製し、その網目中における電子伝達制御を行った。さらに、多機能分子として働く架橋点に着目し、ゲルの膨潤・収縮を誘起する駆動力を検証した。 1)ゲルに2D周期構造を導入し、光誘起化学反応の制御を行った。構造の周期間隔、屈折率差と化学反応の速度の相関から、特定波長の吸収増幅効果を検証した。特に、ゲル相と液相における異相界面の屈折率制御をねらった。 2)周期構造を3Dに拡張した異相界面を作製し、相をまたいだ光誘起化学反応の制御を行った。2D周期構造の場合と同様、周期間隔、および屈折率差を検証し、さらに、光エネルギー変換プロセスの高効率化・高次機能化をねらった。 以上の手法から、界面における屈折率差を利用することで、光エネルギー吸収から電子伝達反応における新規材料創製の指針を得た。
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