研究課題/領域番号 |
11J04031
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
見田 悠子 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | メキシコ / キューバ / ガルシア=マルケス / カリブ海沿岸地域 / 魔術的リアリズム / 現実の驚異的なもの / アレホ・カルペンティエル / 百年の孤独 |
研究概要 |
カリブ梅沿岸地域文化と文学 本年度の主な活動はキューバとメキシコへの渡航調査であった。 キューバではRealismo Magico(魔術的リアリズム)と深い関係が語られるLo Real Maravilloso(現実の驚異的なもめ)の提唱者であるアレホ・カルペンティエルに関する資料を多く収集できた。なかでも上記二つの用語の差異を語るインタビュー映像やガブリエル・ガルシア=ルケスとの交流を示す写真などは、カリブ海沿岸地域文学を語る上での二つの用語の関連生と使用法を決める際に大いに役立つ。 その他、キューバの社会の流動性と中流一般の文化意識の高さを確認した。キューバの文化を把握するためには継続的な調査が必要であり、特定の時期の記録を集めなければ当国を舞台にした作品の社会背景をつかむことは困難である。 メキシコでは、メキシコ国立自治大学のコロンビア人研究者を通じて、コロンビア各地め研究者とコンタクトをとった。 どちらの国においても継続的な意見交換を可能にするため、各研究者との個人的な交流と情報交換につとめ、信頼関係を築いた。こうした交流は、資料の収集を容易にし情報の伝達を早めるだけでなく、自分の生まれ育った文化に限定されがちな思考から抜け出るために必要であり、また、各研究者の考え方を知ることによって、受け取った情報を正確に分類するために有効である。 昨年度までの研究 昨年度までの成果としては、論文「黄金郷の孤独」が、現代文芸論研究室が編集・発行する論文集『れにくさ』4号(2013年4月に発行予定)に掲載が決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記記述のような課題がみつかっているが、今まで見落としがちであった側面に気がついたことで、研究全体はより包括的なものとなっている。各国における資料の収集は順調に進んでおり、研究者間の交流によって当初の目測以上の知識を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、カリブ海沿岸地域におけるフィールドワークの締めくくりとして、コロンビアで調査、資料収集する。4月下旬に帰国してからは資料の読み込みに時間をかける。研究を進める上での注意点としては、階級差や人種差別について、文化レベルと日常生活レベルでの相違が確認され、学術書の読み込みもいっそうの注意が必要であることを感じた。また、近しい場所に居住が認められていたとしても、階級間や人種間でどのような交流があったのかは、当時の生活についての幅広い記録から判別して行く必要がある。広範な資料に溺れることなく読みこなし、今までの経験から得た知識を論文として公に発表できるレベルにまとめあげることが来年度の課題である。
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