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2012 年度 実績報告書

減算のない非自励離散可積分系が創出する新たな箱玉系と数値計算アルゴリズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J04105
研究機関京都大学

研究代表者

前田 一貴  京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード非自励離散可積分系 / 箱玉系 / 数値計算アルゴリズム / 双直交関数系 / R_<II>格子 / 一般化固有値問題
研究概要

本年度は数値計算アルゴリズムについての研究を中心に行った.行列固有値計算アルゴリズムとしてよく用いられるdqds法の漸化式は,可積分系の観点から見ると非自励離散戸田格子の時間発展方程式と同一のものであり,具体的にHankel行列式で書ける初期値問題の解を与えることができる.そのために用いられる道具がモニックな有限直交多項式である.本研究では,モニックな有限R_<II>多項式に付随する非自励離散可積分系としてモニック型のR_<II>格子,およびその減算なしの漸化式を導出し,初期値問題の解について漸近解析を行うことで,これが一般化固有値を計算するアルゴリズムとなっていることを明らかにした.dqds法が三重対角行列を対象としていたのに対し,本研究で導出されたアルゴリズムは三重対角行列束を対象としたものとなっており,このクラスの問題に対しては,ある条件の下でパラメータを適切に選ぶことで従来法よりも高速・高精度に一般化固有値を計算できることが数値実験により確認された.
以上の結果について,本年度は国内4件,国外2件の学会発表を行い,その報告として九州大学応用力学研究所研究集会報告に和文論文1編が掲載,数理解析研究所講究録にも和文論文が1編が掲載される予定となっている.また,英文論文1編を投稿中であり,そのプレプリントは既にarXivにて公開済みとなっている.
加えて本年度は,本研究課題の背景にある直交関数系の理論と可積分系の関係について解説した和文論文を2名の共著者と執筆し,日本応用数理学会論文誌に投稿した.これについては,査読の結果採録が決定し,次号(23巻2号)に掲載される予定となっている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RQ格子を用いた一般化固有値計算アルゴリズムが構成され,その有用性の一端も数値実験により確かめられた.以上が論文としてまとめられ投稿中であり,本年度までの計画については目的が達成されたものと考える.

今後の研究の推進方策

今年度は数値計算アルゴリズムについての研究が中心となり,箱玉系についての進展はあまり見られなかった.次年度は箱玉系についても研究を進めていきたいと考えている.また,今年度に構成された一般化固有値計算アルゴリズムについても,適用可能な問題のクラスが狭いという問題が残っており,この点についての改善も課題となっている.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 離散戸田格子の超離散化と箱玉系2013

    • 著者名/発表者名
      前田一貴
    • 雑誌名

      第4回白浜研究集会報告集

      ページ: 97-105

  • [雑誌論文] 離散可積分系の観点からのdqds法の拡張について2013

    • 著者名/発表者名
      前田一貴, 辻本諭
    • 雑誌名

      九州大学応用力学研究所研究集会報告

      巻: 24AO-S3 ページ: 144-149

    • 査読あり
  • [学会発表] Discrete integrable systems and matrix eigenvalue algorithms2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Maeda
    • 学会等名
      The Eighth IMACS International Conference on Nonlinear Evolution Equations and Wave Phenomena : Computation and Theory
    • 発表場所
      University of Georgia (USA)
    • 年月日
      2013-03-27
  • [学会発表] 離散戸田格子の超離散化と箱玉系2012

    • 著者名/発表者名
      前田一貴
    • 学会等名
      第4回白浜研究集会
    • 発表場所
      南紀白浜旅館むさし
    • 年月日
      2012-12-05
  • [学会発表] 離散可積分系の観点からのdqds法の拡張について2012

    • 著者名/発表者名
      前田一貴, 辻本諭
    • 学会等名
      平成24年度九州大学応用力学研究所共同利用研究集会「非線形波動研究の最前線-構造と現象の多様性-」
    • 発表場所
      九州大学筑紫地区共通管理棟
    • 年月日
      2012-11-02
  • [学会発表] dqds法の一般化固有値問題への拡張について2012

    • 著者名/発表者名
      前田一貴
    • 学会等名
      RIMS研究集会「次世代計算科学の基盤技術とその展開」
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      2012-10-24
  • [学会発表] 離散可積分系を用いた行列束の一般化固有値計算について2012

    • 著者名/発表者名
      前田一貴, 辻本諭
    • 学会等名
      日本応用数理学会2012年度年会
    • 発表場所
      稚内全日空ホテル
    • 年月日
      2012-08-29
  • [学会発表] A generalized eigenvalue algorithm based on integrable systems2012

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Maeda
    • 学会等名
      Symmetries and Integrability of Difference Equations 10 (SIDE 10)
    • 発表場所
      Xikou, Ningbo (中国)
    • 年月日
      2012-06-15

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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