研究課題/領域番号 |
11J04128
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
押木 守 北海道大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(PD)
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キーワード | anammox / Brocadia sinica / プロテオーム / 鉄酸化硝酸還元 |
研究概要 |
本年度は、高速anammoxリアクター内で培養されたanammox細菌についてプロテオーム解析を実施した。この目的にあたり、タンパク質の抽出条件について検討を行なった。その結果、異なる種類の界面活性剤を組み合わせ、かつ段階的に菌体を溶菌処理した場合に最も多くのタンパク質を回収できることが明らかとなった。続いて、抽出タンパク質を1次元SDS-PAGEにおいて展開し、泳動レーンからゲルバンドを切り出し、質量分析を行った。昨年度までに筆者が解読したCandidatus "Brocadia sinica"のゲノム情報に対してMS/MSパターンの相同性検索を行った結果、1,175種のタンパク質を同定することに成功した。 また、昨年度までに回分試験において確認したanammox細菌の鉄酸化硝酸還元能を応用すべく、連続式カラムリアクターの立ち上げおよび連続運転試験を実施した。運転開始当初では、微量の酸素コンタミにより連続式カラムリアクターへ第一鉄を連続的に供給することが困難であった。そこで、リアクターへ供給する基質へシステインを還元剤として添加しながら培養を行ったところ、第一鉄を安定的に供給することが可能となり、鉄酸化硝酸還元能をリアクター内で確認することに成功した。一方、システインを添加しながら連続培養を行った結果、従属栄養性脱窒細菌がリアクター内で優占化し、anammox活性が低下した。これらのことから、鉄酸化硝酸還元能を組込んだanammoxリアクターの運転では酸素コンタミを極力抑える操作が必要であり、適切な還元剤を補助的に用いるべきであることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書において記載した2年目計画の内容を当該年で達成することができ、翌年度の研究計画にすみやかに取りかかることが出来る状況にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において実施したプロテオーム解析の結果に基づき、anammox細菌の生理学的特性について考察を深める。 そのために、タンパク質発現に基づく代謝パスウェイ解析を行なう予定である。
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