研究課題/領域番号 |
11J04167
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松野 孝平 北海道大学, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC2)
|
キーワード | 西部北極海 / 動物プランクトン / 植物プランクトン / サイズ組成 / 水平分布 / 経年変動 / 摂餌 |
研究概要 |
本研究は研究サブテーマとして以下の4つを設けている。(1)2010年夏季の西部北極海における植物プランクトンの水平分布(2)2010年夏季の西部北極海における動物プランクトンの水平分布(3)西部北極海における動物プランクトンの摂餌生態(4)チャクチ海における動物プランクトンサイズ組成の経年変動 以下に各サブタイトルの成果を記す。 (1)植物プランクトン検鏡試料の解析 2010年みらい北極航海にて採取した植物プランクトン試料の解析を行い、西部北極海におけるマイクロプランクトン群集の水平分布とそれを制限する要因を明らかにした。得られた結果を2012年度日本海洋学会春季大会にてポスター発表を行い、ベストポスター賞を受賞した。今後は国際学会(IPY2012)にてポスター発表を行い、学術論文を執筆しJournal of Oceanographyに投稿する予定である。 (2)動物プランクトン検鏡試料の解析 2010年みらい北極航海にて採集した動物プランクトン試料の検鏡を現在行っている。データ解析の後、得られた結果を2008年における動物プランクトン群集と比較し、国際学会(ASLO)で発表する予定である。 (3)動物プランクトンの摂餌生態 本サブテーマは2010年のみらい北極航海にて船上でのカイアシ類摂餌実験によりデータを取得した。しかし、取得したデータだけでは研究目的である「動物プランクトンによる植物プランクトンへの摂餌インパクトの評価」には不十分であると考えられたため、引き続き2012年9月に行われるみらい北極航海にて実験を試みる予定である。 (4)Optical Planktom Counter(OPC)による解析 1991、1992、2007および2008年にチャクチ海で採集された動物プランクトン試料のOPC測定を行い、チャクチ海における動物プランクトン群集のサイズ組成の経年変動を明らかにした。得られた結果を国際および国内の学会にてそれぞれポスター発表と口頭発表を行った。さらにタイトル「Biomass size spectra of mesozooplankton in the chukchi Sea during summers of 1991/1992 and 2007/2008:ananalysis by optical plankton counter」とした学術論文を執筆し、国際学会2nd ESSASの特集号(ICES Journal of Marine Science)に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で設けている4つのサブテーマいずれもほぼ予定通り進行しており、現在のところまで研究計画の大幅な変更や遅延などの問題はないと考えている。平成23年度で学術論文2報と学会発表6回を行ったことも研究が順調に進行していることを裏付けている。
|
今後の研究の推進方策 |
全体としては現状の方策のままで十分に研究計画を完遂できると考える。ただし、サブテーマ3の「西部北極海における動物プランクトンの摂餌生態」については、若干の試行錯誤が必要と考える。2010年のみらい北極航海において行った摂餌実験だけでは「動物プランクトンによる植物プランクトンへの摂餌インパクトの評価」を明らかにするためにはデータが不十分であり、実験設定も甘かったと考える。これに対する対応策としては、2012年9月のみらい北極航海にて再度実験を行う予定である。その際には、生態系変動予測モデルに応用できるデータを得られるように、モデル分野の研究者や植物プランクトンの研究者と実験設定を精査する予定である。
|