• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

組織内酸素分圧による造血器腫瘍幹細胞維持機構の解明と制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 11J04561
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

小林 千春  慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード白血病幹細胞 / 慢性骨髄性白血病 / 低酸素
研究概要

白血病幹細胞(Leukemia-initiating cells : LICs)の残存は、再発・治療抵抗性の一因であるが、LICs維持の分子機構は未だ十分には解明されていない。報告者の属する研究室ではこれまで成体骨髄における低酸素環境の正常造血幹細胞(hematopoietic stem cell ; HSC)への影響について研究してきた。今回、報告者はHSCと同じく低酸素環境に存在すると推定される慢性骨髄性白血病(CML)-LICsの新たな治療標的を同定するために、CMLマウスモデルを用いて、CML LICsに特異的に発現している細胞表面マーカーを探索した。その結果、CD25がCML LICsが存在するとされるLin-Sca-1^+c-Kit^+(LSK)分画で高発現し、正常造血幹細胞では発現していないことを確認した。Fluorescence-activated cell sorting (FACS)解析により、CD25陽性細胞は、マスト細胞で高発現しているFCεR1αにより、CD25^+FCεR1α^+LSK (CD25^+F^+LSK)とCD25^+FCεR1α^-LSK (CD25^+F^-LSK)に分類された。CD25陰性細胞はFCεR1α^-であった。コロニーアッセイと単細胞培養で、CD^25+F^-LSKが多分化能を持ち、かつマスト細胞に分化しやすいことを確認した。次に白血病幹細胞活性を調べるため二次移植を行った結果、CD25^+F^-LSKとCD25^-F^-LSK共にCMLを発症したが、CD^25+F^-LSI(の方が白血病幹細胞活性が高いことが分かった。IL-2/CD25シグナルの重要性を調べるため、I12ra^<+/+>またはI12ra^<-/->LSK由来のCMLマウスを作製したところ、CD25の発現を失うとCML発症が遅れることが明らかになった。抗CD25抗体と抗IL-2抗体治療の結果からもIL-2/CD25シグナルの重要性が示された。さらにTKIsのニロチニブを抗CD25抗体と併用するとニロチニブ単剤より有効であった。未治療の初発CML患者の骨髄をFACS解析し、最も未分化な分画であるCD34^+CD38^-分画においてCD25が高発現していることを確認した。さらに公共のデータベースの解析からCMLの病勢とCD25の発現が相関することが分かった。以上よりCMLにおいてIL2/CD25シグナルは新たな治療標的になることが期待された。以上の成果はBlood誌に掲載された。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The IL-2/CD25 Axis Maintains Distinct Subsets of Chronic M yeloid Leukemia-initiating Cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi CI, Takubo K, Kobayashi H, Nakamura-Ishizu A, Honda H, Kataoka K, Kumano K, Akiyama H, Sudo T, Kurokawa M, Suda T.
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 123 ページ: 2540-2549

    • DOI

      10.1182/blood-2013-07-517847

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-07-15  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi