研究課題
本年度は1年次において検証された実験課題を、パニック障害患者に適用する予定であった。しかし、MRI装置の交換により6ヶ月間実験を中断したため、患者のデータを取ることができなかった。そこで、1年次において検証された実験課題を改定し、行動実験のみによる基礎検討を行った。大学生を対象に、不快情動視覚刺激を提示し、情動制御方略の選択によって主観的な不快情動低減に変化があるかを検討した。また、疼痛による不安にどのような脳機能が関連するかを検討した。慢性疼痛の患者を対象にfMRIの測定を行った。得られたデータはstatistical parametric mapping 8によって解析した。その結果、内側前頭前野や前帯状回、島皮質といった領域が患者では機能異常を示していることが明らかになった。さらに、健常者を高不安群と低不安群に群分けし、実験場面で擬似的に設定した社会状況における不安とその不安に対するソーシャルサポートが脳機能に与える影響を検討した。社会的状況ではプログラムによって作成したキャッチボールゲームを被験者を含めた3名で行い、そのキャッチボールからの排斥によって不安を喚起させた。さらに実験者から情緒的サポートを提供し、不安に対するソーシャルサポートを行った。これらの操作の最中にfMRIを行った。その結果、キャッチボールからの排斥に伴って前帯状回皮質領域などのpain matrixと呼ばれる領域の賦活が見られた。高不安群では排斥に対するソーシャルサポートにおいて背外側前頭前皮質が情動と関連する領域と機能的に結合しており、これが不安と強く結びつくだけでなくソーシャルサポートの効果が低くなったことと関連するものと推測された。また、主著者として認知行動療法前後の脳活動の変化に関する論文をSocial Cognitive and Affective Neurosciencesに投稿し、採択された。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件)
Hiroshima Journal of Medical Sciences
巻: (in press)
Social Cognitive and Affective Neurosciences
巻: (掲載確定)(in press)
10.1093/scan/nst009
Perceptual and Motor Skills
巻: 115 ページ: 349-359
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Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry
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The Journal of Pain
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