研究課題/領域番号 |
11J04786
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 春菜 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | プロテオーム / リン酸化 / 質量分析 / タンパク質キナーゼ / シグナル伝達 |
研究概要 |
タンパク質の翻訳後修飾であるリン酸化は、タンパク質キナーゼがその基質を認識しリン酸基を付与することで、基質を活性化または不活性化するスイッチの様な役割を果たす。これらリン酸化反応の網羅的な定量解析情報はシグナル伝達経路を解明する上で重要である。近年、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)の技術発展により、基質であるリン酸化タンパク質の大量同定が可能となった。その一方で、MSにより得られる情報は基質のみであり、その反応を行ったキナーゼが明らかにはならないという問題点がある。本研究では、キナーゼがどのような特徴のある基質を特異的に認識するのかを明らかにする為に、試験管内(in vitro)でのキナーゼ反応を応用した実験を行った。 研究1ではin vitroキナーゼ法を基に、キナーゼ特異的なモチーフ配列の同定を試みた。このリン酸化部位周辺配列情報から既知のモチーフ配列と類似した配列が抽出されたことから、本実験手法がキナーゼ特異的なリン酸化部位およびモチーフ配列を抽出するための妥当な手法である事を確認した。また研究2では、様々な切断酵素によりモチーフを分断したペプチド基質や長さの異なるペプチド基質を調整し、これらに対して本実験手法を応用することで、キナーゼが基質を認識する際の特異性を解析した。これらは研究実施計画の研究1、2に該当するものである。現在はこれらの実験を複数種のキナーゼ、および基質に対して拡張し、各キナーゼの基質認識の際の特異性を比較した議論をすすめている。研究3には着手していないが、その他の研究としてキナーゼ反応をin vitroで行い、人工的にリン酸化タグを付与することで狙った一群のタンパク質を濃縮する方法の開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは異なる,リン酸化タグを用いた研究を行ったため研究3に関しては着手できていないが、研究実施計画で述べた研究1および2に関しては期待通りに研究が進捗しており、論文化に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験結果に情報学的な解析を加えて、論文として投稿する。また、研究実施計画で述べた研究3に着手する。
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