研究概要 |
定常的な磁気圏構造を求めるためには, 定常化された方程式であるGrad-Shafranov (GS)方程式を解く必要がある. このGS方程式に関する理解は昨年度までの研究によって非常に深まり, 様々な物理的状況に対応する解を求めることが可能となった. そこで本年度は, コンパクト天体であるマグネターと周囲の磁気圏の定常的な磁場構造を計算することによって, マグネターの磁気エネルギー解放に関する議論を行った. 現実的な状態方程式を用いて作成したコアとクラストを伴ったマグネターの内部磁場と, その周囲のねじれた磁気圏の磁場を同時に計算し解を求めると, リコネクションを起こして磁気エネルギーを解放しうるようなX-point磁場構造を磁気圏内に伴った定常解が得られた. 次に, 数多くの解を求めることで, このX-poitな磁場構造がどのような時に形成されエネルギー解放を行えるのかを調べた. その結果, コアやクラストなどの星の内側の磁場構造やクラストの歪み具合が変化することによって, 磁気圏内にX-point磁場構造が形成されうることが明らかになった. この結果は, 磁気圏だけを計算している先行研究では分からなかったものであり, 星の外側にある磁気圏のエネルギー解放を考えるためには, 星の内側である内部磁場構造も重要であることを示唆している. この結果に関しては, 国際学会や日本天文学会で発表をするとともに, 現在査読付き国際学術誌に投稿中である. またこれらの手法を応用して, 子午面流を伴うことで扁長となる星の構造を解析的に求め, その歪み方の定量的な評価を行った. この研究結果は, 査読付き国際学術誌に掲載が受理され, すでに出版済みである.
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