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2012 年度 実績報告書

高次の心の理論の発達が利他行動に与える影響:二次的信念の理解と評判の表象

研究課題

研究課題/領域番号 11J04927
研究機関東京大学

研究代表者

高岸 治人  東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2011 – 2013-03-31
キーワード心の理論 / 利他行動 / 自閉症スペクトラム障害 / 眼球運動 / オキシトシン
研究概要

本プロジェクトの目的は、心の理論と呼ばれる他者の心的状態を推測する認知能力と社会行動(利他性)の関連を検討することにある。本年度は昨年度実施した自閉症スペクトラム障害を抱えた成人(ASD参加者)を対象にした実験で測定した眼球運動の解析を行った。課題は自分より多い金額を受け取る人(Xさん)と自分より少ない金額を受け取る人(Yさん)が存在するという状況の中で、Xさんの取り分をどのくらい減らすか、もしくはYさんの取り分をどのくらい増やすかを回答するという方法で行った。実験の結果、まずASD参加者は、精神疾患や発達障害を持たない健常参加者よりもYさん(自分より少ない金額受け取る人)の取り分を増やさない傾向を持つことが明らかになった。また、注視時間に関してもASD参加者はYさんの利益に注意を払わない傾向を持つことが明らかになった。これらの結果は、ASD参加者は行動レベルでも認知レベルにおいても利他性に関して健常参加者とはまた違った傾向を持つことを示している。
次に第二実験としてオキシトシンをASD参加者へ投与することで利他性が促進されるかどうかを確かめる研究を実施した。オキシトシンはこれまで授乳時、分娩時に重要な役割を果たすホルモンであると考えられてきたが、近年の研究の結果、他者に対する信頼や心の理論といった社会性を促進させる働きを持つことも明らかになった。またこれらの結果を受け、近年、ASDの改善薬として注目が集まっている。実験では、20名のASD参加者に対してオキシトシンを投与し、投与前後の利他性の程度を測定した。結果に関しては現在分析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自閉症スペクトラム障害に関する行動実験は実施することができたが、小学生を対象にした実験を実施することができなかった。小学生の参加者を集めるのが難しかったため。

今後の研究の推進方策

新聞の折込広告などを駆使して小学生の参加者プールを作成すること。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Is behavioral pro-sociality game-specific? Pro-social preference and expectations of pro-sociality2013

    • 著者名/発表者名
      Yamagishi T, Mifune N, Li Y, Shinada M, Hashimoto H, Horita Y, Miura A, Inukai K, Tanida S, Kiyonari T, Takagishi H, Simunovic D.
    • 雑誌名

      Organizational Behavior and Human Decision Processes

      巻: 120(2) ページ: 260-271

    • DOI

      10.1016/j.obhdp.2012.06.002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rejection of unfair offers in the ultimatum game is no evidence of strong reciprocity2012

    • 著者名/発表者名
      Yamagishi T, Horita Y, Mifune N, Hashimoto H, Li Y, Shinada M, Miura A, Inukai K, Takagishi H, Simunovic D.
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America

      巻: 109(50) ページ: 20364-20368

    • DOI

      10.1073/pnas.1212126109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 評判の表象と心の理論2012

    • 著者名/発表者名
      高岸治人
    • 雑誌名

      分子精神医学

      巻: 12(4) ページ: 2-7

  • [雑誌論文] 経済的意思決定における衝動性2012

    • 著者名/発表者名
      高岸治人・福井裕輝
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 27(6) ページ: 779-783

  • [学会発表] サイコパシーは適応的戦略と見なせるか : Life History戦略及びホルモンとの関連から2012

    • 著者名/発表者名
      新井さくら・清成透子・高岸治人・長谷川寿一・山岸俊男
    • 学会等名
      日本人間行動進化学会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      20121201-20121202
  • [学会発表] 評判の表象と利他行動2012

    • 著者名/発表者名
      高岸治人
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      専修大学(神奈川県川崎市)(招待講演)
    • 年月日
      20120911-20120913
  • [学会発表] 未就学児における他者の利他性判断2012

    • 著者名/発表者名
      小泉径子・高岸治人・岡田浩之
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      専修大学(神奈川県川崎市)
    • 年月日
      20120911-20120913
  • [学会発表] 未就学児の利他性判断・動画を用いた検討2012

    • 著者名/発表者名
      小泉径子・高岸治人・岡田浩之
    • 学会等名
      北海道心理学会
    • 発表場所
      北海道教育大学函館校(北海道函館市)
    • 年月日
      2012-09-29
  • [学会発表] 向社会的行動の発達とその認知的基盤2012

    • 著者名/発表者名
      高岸治人
    • 学会等名
      日本動物心理学会
    • 発表場所
      関西学院大学(兵庫県西宮市)(招待講演)
    • 年月日
      2012-05-11
  • [図書] なるほど!赤ちゃん学 : ここまでわかった赤ちゃんの不思議2012

    • 著者名/発表者名
      玉川大学赤ちゃんラボ
    • 総ページ数
      222
    • 出版者
      新潮社
  • [備考]

    • URL

      http://harutotakagishi.jp

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公開日: 2014-07-16  

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