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2012 年度 実績報告書

病原性大腸菌感染における宿主蛋白質分解機構制御の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J05035
研究機関東京大学

研究代表者

森川 華子  東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)

キーワード細菌感染 / エフェクター / 細胞周期 / NEDD8 / ユビキチン / クリアランス
研究概要

下痢性疾患は現在でも毎年150万人もの乳幼児の命を奪っており、地球規模で解決しなければならない課題の一つである。そのような下痢性疾患を引き起こす病原性細菌のなかでも、本研究は特に腸管病原性大腸菌(EPEC ; enteropathogenic E. coli)に焦点をあてている。本研究は、EPECのエフェクター分子Cifによる宿主細胞内のSCF制御機構を明らかにし、EPEC感染における宿主細胞応答を解明することを目的として行っている。
本年度は、昨年度に引き続き、EPEcのマウス感染モデルを用いて、体内でのEPEc感染におけるcifの生理的な意義を解明するため、培養上皮細胞に対して細胞周期進行停止を誘導するCifが、宿主生体内において腸管上皮細胞のターンオーバー制御に与える可能性に着目した。EPEC感染における宿主生体内でのCifの働きを調べるため、マウスを宿主とする病原性大腸菌Citrobacter rodentium (EPECの一種)をマウスへ経口的に感染させ、Cifの病原性を調べた。まず、Cifをプラスミドにて発現させた菌株を作成した。この菌株がIII型分泌機構依存的にCifを分泌することを確認した上で、マウスへの経口感染を行った。cif遺伝子を保持しない野生株は感染後2週間をかけてマウス大腸にコロニーを作り、その後クリアランスされたのに対し、cif遺伝子を発現しているC. rodentiumは、1週間までは野生型の菌株と同様にマウス大腸にコロニーを形成するがその後急速にクリアランスされることが明らかとなった。Cifを発現することによりクリアランスの時期が早まる原因の特定はできておらず、当該原因の究明によりEPEC感染におけるクリアランスのメカニズムを明らかにすることが可能であると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Cifにより、マウス生体内におけるEPECのより早いクリアランスが誘導された。当該結果は当初の予想に反したものであり、予定していた定量プロテオミクスを用いた宿主ユビキチン化蛋白質のプロファイル比較は行わなかった。

今後の研究の推進方策

Cifを発現するC.rodentiumを感染させたマウス及びCifを保持しない野生型のC.rodentlumを感染させたマウスについて、サイトカイン等を比較し、クリアランスの時期に違いが出た原因を探る。以上を踏まえ、改めてCifの生体内での影響について考える。

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公開日: 2014-07-16  

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