【背景】 介護職員処遇改善交付金制度により、介護職員の処遇が改善されるかと考えられたが、平成22年度の処遇改善額は、月額平均6972円となっており、当初の処遇改善の金額目標に届いておらず、この制度の効果が十分に反映されているとは言い難い現状であった。また、事業所によっては交付金の申請をしない例があり、個々の介護職員が受ける処遇改善効果についての平等性が課題となっていた。平成24年度から介護職員処遇改善交付金制度は廃止になり、介護職員処遇改善交付金相当分を介護報酬に移行するため、例外的かつ経過的な取扱いとして、平成27年3月31目までの間、介護職員処遇改善加算を創設した。結局、介護職員処遇改善交付金の効果、検証は行われないまま、制度は廃止されることとなり、介護職員の処遇問題は課題として残されたまま、結果として、職員の給与が減るという結果を招くことも予想される。本研究では、新しく導入された介護職員処遇改善加算は、現場の職員にどのような影響を与えているのかを考察する。 【目的】 介護職員処遇改善加算が現場にどのような影響をもたらしているのかを調査し、現場が望む介護職員処遇改善策を明らかにする。 【研究実施状況】 北海道老人福祉施設協議会に会員として登録してある特別養護老人ホーム259施設を対象として、抽出基準を設け、50施設を抽出し、その抽出した50施設にアプローチし、その内の10施設でインタビュー調査を半構造化面接で実施する。その後、自記式質問紙票を用いたアンケート調査を行い、質、量の両方の研究デザインで研究内容を検討する。
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