研究課題
エイズの原因ウイルスであるHIVの発見以来、精力的にエイズワクチンの研究開発が行われてきたが、ウイルスの易変異性により未だ有効なワクチンは開発されていない。そこで、変異しやすいウイルスタンパク質ではなく、HIVが宿主細胞に侵入する例に利用する第二受容体CXCR4を標的としたエイズワクチンの開発を目指した。HIVとの結合面であるCXCR4細胞外ドメインの立体構造を特異的に認識する抗体を誘導させることにより、HIVの感染感染・進行およびエイズ発症を抑制する治療および予防ワクチンの開発を行う。そこで、triazacyclophane(TAC)scaffold上にCXCR4細胞外ドメイン由来ペプチドを導入してCXCR4細胞外ドメインミメティクを合成する。本年度は、昨年度合成が完了したTAC scaffold上にCXCR4細胞外ドメイン由来ペプチドを結合させる反応点の検討を行い、最適な条件を見出すことに成功した。当初は、アミド結合の形成によりTACscaffoldとペプチドを結合させる予定であったが、TACscaffoldとテンプレートとの立体障害により反応効率が悪いことが予想された。そこで、strain-promoted azide-alkyne Huisgen cycloaddition(SPAAC)を用いるため、TAC scaffoldにアルキンとしてdifluorinated cyclooctyne(DIFO)を導入し、ペプチドにアジド基を導入した。SPAACは、銅などの触媒が不必要であり、生理的pHの水溶液中でも反応が進行し、化学選択性が高いため、CXCR4細胞外ドメインミメティクのような高分子を合成するためには有用な反応である。以上のように効率よくCXCR4細胞外ドメインミメティク合成するための有用な知見を得た。
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Peptide Science 2012
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