研究概要 |
・広帯域高速波長可変レーザー光源の開発 超短パルスファイバーレーザーと各種ファイバー型素子の構成により,波長可変ソリトンパルスの各中心波長における断熱ソリトン圧縮を実現し,スペクトル線幅0.5nm~0.7nm、波長可変幅230nm(1620nm~1850nm)に渡る広帯域高速波長可変狭線幅光源を実現した。 ・広帯域高速波長可変レーザー光源を用いた高侵度・超高分解能・リアルタイムOCTの開発 上記光源を用いて,ファイバー型マイケルソン干渉計に基づくOCTシステムを構築し,動作解析を行った.100kHzの波長可変速度動作において,ミラーをサンプルとして干渉信号を確認することが出来た。スペクトル干渉信号の解析より,干渉信号のフリンジの高さが小さいことがわかり,信号対雑音比(SNR)が小さい課題を見出した. ・0.80μm,1.06μm,1.30μm,1.55μm,1.70μmのOCTシステムを用いた同一サンプルに対する直接的な波長比較 本研究室では,これまでに波長0.80μm,1.06μmにおいて,固体レーザーを基礎とする超短パルスレーザーと細径ファイバーを用いたスーパーコンティニューム(SC)光源を実現し,波長1.30μm,1.70μmにおいて,超短パルスファイバーレーザーと正常分散の高非線形ファイバーを用いてSC光源を実現してきた.これらの波長帯に加え,1.55μm帯において,ソリトン-シミラリトンレーザーからの光強度超短パルスと高非線形ファイバーを用いてSC光を生成する新たな光源を開発した.これらのSC光源をそれぞれ調整するとともにファイバー型のOCTシステムを各波長において構築することで,奥行き分解能3.3μm~7.0μm、横方向分解能17.6μm~20.6μm、感度95dB以上,サンプル照射光強度3.0mWとOCTの条件を全ての波長で揃え,サンプルの波長依存性を検証することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の論文化まで図ることが出来た.今年度は波長0.8~1.7um帯における5つの波長帯において,広帯域なスーパーコンティニューム光源,およびそれを用いた超高分解能OCTシステムを開発し,OCTイメージングにおける波長依存性の影響を初めて広帯域に評価した.その結果,各サンプルにおける水分含有量の有無の影響や,散乱・吸収の影響などを初めて定性的・定量的に評価し,同分野において貴重な知見を示すことができた.新しい狭線幅光源を用いた高機能OCTの研究については,今後,実験によって明らかとなった課題を克服していくことで,次年度での目標達成が期待される
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今後の研究の推進方策 |
100kHzの波長可変速度動作において,ミラーをサンプルとして干渉信号を確認した。スペクトル干渉信号の解析より,干渉信号のフリンジの高さが小さいことがわかり,信号対雑音比(SNR)が小さいという課題を見出した。今後、新しい狭線幅光源を用いた高機能OCTの研究については,実験によって明らかとなった課題を克服していくことで,次年度での目標達成が期待される。
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