・広帯域高速波長可変レーザー光源の開発 高繰り返しモード同期レーザーによる高強度化の検討を行い、繰り返し周波数100MHzのファイバー型モード同期レーザーを実現し、高出力スーパーコンティニューム光源の開発に成功した。生体サンプルを用いた比較を実施し、OCT信号・画像ともに10dBの高感度化を確認した。 ・内視鏡への応用に向けた基礎評価 ラットの胸膜下部肺胞組織と気管/気管支のOCT観察を行い、従来報告よりも高解像な肺胞組織観察を実証した。ホルマリンで固定したサンプルを用いて肺胞や肺胞嚢などの微細な肺組織構造を3次元で観測することに成功し、ホルマリンの屈折率整合による測定深度向上効果を実証した。通常呼気圧力サンプルに対する使用波長依存性を検証し、波長800nmにおける高解像特性、波長1060nmにおけるOCT像の高コントラスト特性、そして波長1700nmにおいて光吸収効果を確認した。急性呼吸窮迫症候群モデルを用いて、超高分解能OCTによる疾患診断が可能であることを実証した。 ・産業用3次元計測へ向けた基礎評価(3次元タンパク質結晶評価技術) 近年、創薬において観察手法の改善が求められるタンパク質結晶の形状・品質評価を検討した。アガロースゲル中のタンパク質結晶において、構造内部からのOCT信号が増強されることを見出し、3次元形状計測が可能であることを実証した。従来評価手法である顕微鏡観察結果との比較において、懸濁溶液中のサンプルにおいて、有意な識別能力の差異を実証した。結晶内部からの信号強度を比較することで、目的タンパク質結晶とそれ以外の結晶(塩など)を識別可能であることを見出し、OCTが光学顕微鏡に対して有意であることを実証した。今後、タンパク質結晶の種別に対する使用波長の選定やタンパク質結晶構造の成長過程の観察などを行っていく。
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