研究課題/領域番号 |
11J05191
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 詩乃 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 発達障害 / 読み書き困難 / 音韻意識 / 音韻処理 / 視知覚 / 運筆 / 支援 |
研究概要 |
本研究では、日本語の学習障害に起因する読み書き困難をもたらす原因は児童によって個人差があると考え、読み書きに関係する諸要因全てが、多様に影響しているのではないかと考えた。そこで、学習障害の疑いがあり、読み書きに困難がある12名の児童を対象に、読み書きに関係すると考えられる音韻意識(音韻構造の分析)、視知覚(文字の認識)、音韻処理(文字と音の変換)、書字の表出(運筆力)の4つの要素を検討した。この結果、読み書き障害に起因すると考えられる読み書き困難は単独の障害によってもたらされるではなく、様々な要因が影響することが明らかになった。また、これらの要因に基づいて読み書き困難のサブグループの特徴が明らかになった。 また日本では、純粋な学習障害児は困難を抱えながらもなんとか授業についていけていると想定されており、実際に診断されることが少ない。読み書き困難を抱えるとして学校現場で問題になる児童は、学習障害だけではなく広汎性発達障害や注意欠陥・多動性障害など他の障害と重複している児童や、学習障害の診断をうけていない広汎性発達障害や注意欠陥・多動性障害の児童であるという現状がある。本研究では、30名程度の発達障害の児童を対象に、読み書き支援の実践を行った。この中には、読み書き障害の児童以外に、広汎性発達障害によるこだわりや、注意欠陥・多動性障害の多動・不注意などにより、二次的に読み書き困難が生じている児童が含まれていた。学習障害の児童に読み書き困難のサブグループに合う支援方法の検討を試みる一方で、広汎性発達障害や注意欠陥・多動性障害の児童にこだわりや不注意などの特性に留意しながら読み書き支援を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載していた視覚認知とその再現(運筆力等の運動協応)の関連だけではなく、音韻意識・音韻処理もあわせて検討した。また、専門誌への投稿準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
発達障害児への学習支援実践は引き続き行う。 これらの実践で得られた知見を踏まえて、広汎性発達障害や注意欠陥・多動性障害を含む発達障害児の読み書きの困難さをもたらす諸要因を検討し、支援方法を確立する。 読み書きにおける視覚認知とその再現(運筆力等の運動協応)の関連について、より詳細に検討していく。
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