研究課題
本研究では、磁場閉じ込め核融合プラズマにおける多種の不安定性の混在する状態について理論解析および数値シミュレーションを行い、得られた結果を核融合科学研究所のヘリカルプラズマ実験装置Large Helical Device(LHD)における実験計測と直接比較することにより、複雑なプラズマ乱流現象の一端を解明することを目的とする。平成23年度は以下の2つの研究に取り組んだ。(1)共鳴磁場摂動(RMP)印可時のプラズマの応答のシミュレーションRMP印可時のヘリカルプラズマの数値シミュレーションの結果、プラズマフロー粘性の強弱および磁力線曲率効果の有無に応じて磁気島が形成・消失する分岐現象が観測された。少数自由度モデルを用いた解析により、プラズマフローによる磁気島の強制回転および磁力線曲率によるテアリングモードの不安定化が、磁気島の分岐現象において重要であることが明らかになった。理論解析の結果とLHDにおける実験計測の直接比較を行うことにより、RMP印可によるヘリカルプラズマの閉じ込め特性の変化に対する基本的な理解が進展した。(2)アルフベン固有モード(AE)が存在するときのプラズマ乱流のシミュレーションAEに関する文献調査および国内外のヘリカルプラズマにおける高速イオン研究の動向に基づいて、平成24年度の研究計画を検討した。高速イオンとAEの非線形相互作用を数値シミュレーションするMEGAコードの使用を開始し、コードにおける数理モデルへの基礎礎的な理解を進めた。テストランにおいては、ヘリカルプラズマの非軸対称性に起因すると考えられる特徴的なAEの飽和過程が観測されているなど、興味深い予備結果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
共鳴磁場摂動に関する研究については、数値シミュレーションおよび理論解析のまとまった成果が得られ、実験計測との直接比較の段階に進んだ。また、アルフベン固有モードに関する研究については、研究技法の習得や文献調査を進めることにより次年度の詳細な計画が立った。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
共鳴磁場摂動に関する研究については、実験計測との直接比較を進める。また、より精度の高い理論モデルの完成を目指した研究に取り組む。アルフベン固有モードに関する研究については、数値シミュレーションの初期結果に基づき、モードの飽和過程とヘリカルプラズマにおける非軸対称性との因果関係を検証するための数値シミュレーションおよびシミュレーションデータの解析を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
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