研究課題
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の感染増殖が、脱アミノ酵素のひとつであるAPOBEC1により抑制されることをはじめて見出した。APOBEC1は、本来は小腸で脂質代謝に関わる酵素であるが、HSV-1脳内接種ラットモデルでは、ウイルス感染神経細胞にこの蛋白質の発現誘導が起きること、そして、この分子によりHSV-1のDNA配列に特徴的遺伝子変異が起き、ウイルスの増殖が抑制されることがわかった。この結果は、HSV-1脳炎過程においてはウイルス抑制因子としてAPOBEC1が誘導されていることを示している。次に、HIV感染を抑制する分子として新たに同定されたウイルス抑制分子SAMHD1について、ヘルペスウイルスであるHSV-1の感染にも骨髄系細胞において抑制的にかかわることを見出した。これらの抑制作用はHIVの場合と同じように、deoxynucleoside triphosphate (dNTP) hydrolase活性に依存した(論文投稿中)。さらに、HSV-2が共感染時には粘膜を介するHIV感染効率が増加することはよく知られている。この介在分子について抗菌ペプチドであるLL37が表皮細胞からHSV-2により誘導され、HIVの受容体(CCR5)発現が誘導され、HIV感受性が亢進することがわかってきた。この実験結果の確証のために、CCR5を使うEnvelope蛋白質のpseudotype HIVを作製し、感染性の亢進の特異性を確認した。
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