研究課題
本研究が目的としているのは、これまでに蓄積されてきた群体性ボルボックス目緑藻の有性生殖過程についての分子生物学的知見をベースとし、縦のベクトルでは同型配偶・異型配偶・卵生殖の各生物の間で性染色体領域に相当するゲノム配列を比較してその分子進化を明らかにすることであり、また横のベクトルではモデル生物であるクラミドモナスを始めとして各生物の有性生殖・性分化の遺伝子ネットワークを分子生物学的に解明し相互に比較するべく、性決定因子である転写因子MIDタンパク質の下流で性・配偶子特異的に制御されている遺伝子群を突き止めることである。昨年度に引き続き本年度は米国Donald Danforth Plant Science Centerにおいて研究を遂行した。群体性ボルボックス目緑藻の性染色体領域配列の決定を目指した超並列配列解読法による同型配偶生物ゴニウムの全ゲノム配列決定が国立遺伝学研究所・東京大学と共同で進行中である。決定された全ゲノム配列中から、クラミドモナスとボルボックスで性染色体領域に共通されて保存されている遺伝子のホモログを見出し、遺伝学的な連鎖を算出することで系統問における性染色体領域からの遺伝子座の移動を明らかにした。またBACライブラリの解析では不成功であった性染色体領域と同じ染色体上の常染色体領域を、ゲノム配列上の遺伝子の進化的保存関係に基づいて同定した。また性決定遺伝子MIDのホモログを国立環境研究所で維持されているゴニウム属の全種から同定し、PLOSONE誌において報告した。これによって、これまで他殖の生物でしか知られていなかったMID遺伝子が自殖の生物にも存在することをはじめて示した。
(抄録なし)
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