研究概要 |
まず始めに、Terai予想のケース(1)のrが2より大の場合を考察した。以前の研究では、rが奇数である場合のみが考察されていて、Baker理論が有効に用いられていた。申請者はrが偶数(>2)の場合を考えた。この場合には、Baker理論が余り効果的でないが、申請者はFermat予想の解決にも有用であった代数曲線の有理点に帰着させる手法を多分に用いて、rが法4で8となる場合に広くTerai予想が成立することを証明した。 また、ケース(2)の場合にTerai予想を考察した。この場合には先行結果が無いので、まずは問題を定式化することから着手した。この場合は、Terai予想における例外的三つ組a,b,c(解の一意性が成立しない)が密接に関係している。この場合のa,b,cのパラメータ表示はケース(1)の場合と異なるが、似ている点が多いく、ケース(1)の研究の手法が多く適用できる。申請者は、ケース(1)の場合と同様の条件下において方程式を考察し、予想が部分的に成立することを証明することができた。また、それは、現在までに見つけられている例外的三つ組a,b,cが、それだけに限るということを支持する結果になっている。 最後に、申請者はJesmanowicz予想の類似問題を提起した。それは、"既約ピタゴラス数a,b,c(a^2+b^2=c^2,b:偶数)に関して、指数型ディオファントス方程式c^x+b^y=a^zは、c=b+1のときに限り自然数解x,y,zを持ち、そのときにただ一つの解(x,y,z)=(1,1,2)を持つ"である。これは寺井伸浩氏(足利工業大学・准教授)を始めとして、多くの研究者にその興味深さを評価されている。申請者は、まず、Baker理論を用いて、問題の後半の主張である"解の一意性"、すわなち、c=b+1ならばただ一つの解(x,y,z)=(1,1,2)を持つこと証明した。さらに、その自然な一般化問題として、等号条件を合同式に延長し、Jesmanowicz予想の研究で申請者が導入した代数的手法を用いて問題が成立することを証明した。
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