研究概要 |
まず始めに、Terai予想のケース(1)のP=q=r=2の場合(Jesmanowicz予想)について考察した。藤田育嗣氏(日本大学)との共同研究で、Jesmanowicz予想を三つ組みa,b,cがある合同条件を満たす場合に証明した。それは申請者の以前の研究結果と関連するものであり、その場合とは異なるペル方程式を扱うものであり興味深い。Pingzhi Yuan氏(華南師範大学)との共同研究では、申請者の以前の研究結果を大幅に拡張することが出来た。両氏とは継続して共同研究を行っている。 次に、Terai予想のケース(1)の一般的な場合について考察した。最近、Florian Luca氏(メキシコ自治国立大学モレリア数学研究所)が、以前の研究の多くを(本質的に)一般化する結果を与えた。その手法は、Baker理論とそのp進版の理論が有効に用いられていた。しかし、その結果は、不完全な点があり、申請者はその部分を補う計算を行なった。また、氏の手法をケース(2)の場合に上手く適用可能な場合を見つけ同様の結果を得た。さらなる結果を得るために氏と意見交換を行っている。 さらに、申請者はTerai予想の類似問題を提起した。それは、"2以上の自然数p,q,rに対して、a^p+b^q=c^rを満たすa,b,cに対して、指数型ディオファントス方程式c^x+b^y=a^zは、q=r=2かつc=b+1のときに限り自然数解x,y,zを持ち、そのときにただ一つの自然数解(x,y,z)=(1,1,p)を持つ"である。申請者は、Terai予想で扱われている三つ組みa,b,cについて考察を行い、Baker理論とそのp進版の理論を用いて、いくつかの場合に予想は成立することを証明した。特に、後半の主張である"解の一意性"を証明した。 最後に、Terai予想では扱われない三つ組みについても研究結果を得た。まず、Alain Togbe氏(Purdue大学)との共同研究を行い、氏の以前の連続整数に関する研究を広く拡張することが出来た。また、申請者は、三つ組みがある線形回帰数列の項として与えられる場合に方程式の解を決定した。それによって寺井伸浩氏(足利工業大学)によって提起されたフィボナッチ数列に関する予想を解決した。
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