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2012 年度 実績報告書

ATP合成におけるタンパク質触媒機構の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J05693
研究機関分子化学研究所

研究代表者

森 義治  分子化学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 特任助教

キーワード分子シミュレーション / ATP合成酵素 / 第一原理計算 / 拡張アンサンブル法 / プロトン移動 / 焼き戻し法
研究概要

ATP合成酵素における化学反応を理解することは生物学全体として重要なことである。この反応を理解するためには第一原理分子シミュレーションを実行する必要がある。そのような系に使用することができる拡張アンサンブル法を開発し分子系に適用する研究を行った。
はじめに,量子力学的な方法を用いた分子動力学シミュレーションを実行することができるプログラムを採用した。そのプログラムに,新たに開発した拡張アンサンブル法である焼き戻しアンブレラサンプリング法を実装し,効率的なサンプリングを可能とした第一原理分子動力学シミュレーションプログラムを作成した。
次に,われわれが作成したプログラムを用いて実際に効率のよいシミュレーションが実現できることを示すため,水中のマロンアルデヒドのプロトン移動反応において計算を試みた。つまり,拡張アンサンブル法を用いた第一原理分子動力学シミュレーションを実行することにより,水中のマロンアルデヒドにおける分子内プロトン移動反応に関する正確な反応自由エネルギー曲面を計算できることを示した。
この研究では,特定の反応座標を効率よくサンプルできる拡張アンサンブル法,焼き戻しアンブレラサンプリング法,を使用した。このシミュレーションの結果,エネルギー障壁が高い遷移状態に関しても十分なサンプリングができ,化学反応における自由エネルギー曲面を正確に計算できることが分かった。また,この研究では実際に水分子を含んだシミュレーションを行ったことから,溶媒に関する解析を行うことにも成功した。この研究成果は,学術論文誌「Physical Review E」より出版された。
第一原理シミュレーションを使用した生体系の化学反応を理解するための効率的な方法を示すことができた。この方法により,ATP合成酵素内の化学反応を理解することができると期待される。つまりATPと水分子の加水分解反応を分子シミュレーションにより理解することが可能となるだろう。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Free-energy analyses of a proton transfer reaction by simulated-temperingumbrella sampling and first-principles molecular dynamics simulations2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshiharu Mori, Yuko Okamoto
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: Volume 87 ページ: 023301 (4)

    • DOI

      10.1103/PhysRevE.87.023301

    • 査読あり
  • [学会発表] First principles molecular simulation with a generalized-ensemble algorithm for studying chemical reactions of biomolecular systems2012

    • 著者名/発表者名
      森義治
    • 学会等名
      第50回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県)
    • 年月日
      2012-09-24
  • [学会発表] 焼き戻しアンブレラサンプリング法による水溶媒中のマロンアルデヒドに関する理論的研究2012

    • 著者名/発表者名
      森義治
    • 学会等名
      第6回分子科学討論会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      2012-09-20
  • [学会発表] 焼き戻し分子動力学法による水中における分子内プロトン移動反応の解析2012

    • 著者名/発表者名
      森義治
    • 学会等名
      第15回理論化学討論会
    • 発表場所
      仙台市福祉プラザ(宮城県)
    • 年月日
      2012-05-26
  • [学会発表] Proton transfer reaction of malonaldehyde studied by ab initiogeneralized-ensemble molecular dynamics simulations2012

    • 著者名/発表者名
      森義治
    • 学会等名
      JST International Symposium on Multi-scale Simulation of Condensed-phase Reacting Systems
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県)
    • 年月日
      2012-05-10

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公開日: 2014-07-16  

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