研究課題/領域番号 |
11J05710
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
工藤 文 早稲田大学, 政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 内容分析 / 中国 / 新聞 / ニュース・ソース / 商業化 / 自立化 |
研究概要 |
平成24年度は改革開放以降の中国メディアの変化をとらえることを目的に研究を行った。中国に二度渡航し分析のための資料を収集した。収集した資料を基に内容分析による実証分析を行い、研究の成果を論文にまとめた。 本年度に行った研究の主な内容は次の通りである。『新民晩報』を対象に内容分析の手法を用いてニュース・ソースを明らかにすることで、商業化以降の中国メディアの自立化を検証した。分析に用いた新聞は上海の夕刊紙『新民晩報』である。分析の期間は1982年から2012年の31年間である。分析の結果、商業化以降中国メディアの自立化は限られた範囲で進んでいることが明らかになった。研究の主な特徴は、自立化をニュース・ソースで作業化し、自立化を検証可能なものにした点である。また、記事の内容からニュース・ソース、ジャンル、地点に分類することでより詳細な結果を導き出すことができた。本研究の他研究への貢献は、これまで印象で論じられ実証的に検証されてこなかった商業化とメディア自立化の関係を、内容分析という手法を用いることで検証した点にある。これによって、商業化が直接メディアの自立化を導くものではないという示唆を得た。 研究の成果は、論文として2013年3月に発行された『次世代アジア論集』第6号、35・61頁に掲載されている。論文タイトルは「中国における商業化以降のメディア自立化の検証一『新民晩報』を用いたニュース・ソースの内容分析から一」である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、(1)新聞紙の収集、(2)内容分析手法の精緻化、(3)論文の執筆の3つを課題に研究を行った。(1)新聞紙の収集では、2度中国に渡航し必要な新聞を入手することができた。(2)内容分析手法の精緻化は、コーディングの信頼性検定や標本誤差の計測を行うなど従来の研究手法を発展させた。上記(1)と(2)の成果として、(3)2013年3月に論文を発行した。以上にように、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、24年度の成果を踏まえてコミュニケーションの政治経済学の理論と関連させながら、研究を発展させることが課題である。主に次の3点が課題である。(1)理論と先行研究のまとめ。コミュニケーションの政治経済学の理論をまとめながら、現代中国メディア研究の先行研究の問題点を指摘する。(2)法律法規の分析。メディアの所有制に着目しながら、国家がメディアをどのように管理しようとしているかを明らかにする。(3)論文の執筆。以上の3点が今後の研究課題である。
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