当該年度において、研究者は得られた結果の論文化をはかり、2つの論文が採択された。また、実験においては、当初の計画通り、線虫Caenorhabditis elegansの飼育環境の構築を行った。振動による記憶の条件付けとその後の記憶の定量化を行うためには、記憶の条件付け直前まで、C. elegansを振動のほぼない状態で飼育する必要がある。そのため、ペルチェ素子型のインキュベーターで線虫を飼育することにより、振動のない環境を構築することが可能となった。 さらに、当初の計画通り、C. elegansの振動記憶のアッセイ系の構築も行った。本アッセイ系を利用し、線虫の記憶の定量化を行った結果、既報の論文通りのC. elegansの振動記憶が観測された。また、同アッセイ系をさらに改良し、さらにハイスループットにアッセイを行うをことを可能にし、また、その解析用のソフトも作製した。さらに、本アッセイ系を利用し、記憶に関わる新規のエピジェネティックファクターを同定した。今後、これらの成果をもとに、記憶に関わるエピジェネティックなマーカーの機能解析を実施する予定である。
|