研究概要 |
メダカ自然突然変異体Daでは体幹部において背側構造が腹側化しており、Da遺伝子座が体幹部の背腹軸を決定する重要な役割を演じていることを示している。これまでの研究から、Da遺伝子座はzic1およびzic4の領域にマップされており、非コード領域に挿入配列があること、およびDa胚では体幹部におけるzic1、zic4の発現が減弱していることから、Da変異はzic1、zic4の発現調節に関わっていることが推測されている。Da変異体の新規アレルであるDa2の染色体遺伝子を検索し、大型トランスポゾン(Albatross)がzic1,zic4遺伝子タンパク質コーディング領域の間に挿入されていることを見出した。このトランスポゾン挿入によりzic1,zic4の背側体幹部での発現が減弱することで、背側体幹部の形成不全が起こるものと考えられた。Da変異やDa2変異のような非コード領域内の変異は、一般的にタンパク質コード領域における変異を証明するために用いられるアンチセンスオリゴによるノックダウン法などを用いることができないため、証明することが難しい。そのため、本研究で解析を進めたDa-2は、このトランスポゾンがzic1、zic4の発現異常および体幹部背側における背腹軸の形成異常の原因であるという可能性を支持するものとなつた。この成果は、東京大学との共同研究の形で、Current Biology 22, 1-7, 2012に発表された。
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