研究課題
超光度超新星の光度曲線モデル作りを行うとともに、超光度超新星以外のIIn型超新星のモデル作りを行い、その親星の爆発直前の性質について調べた。過去に超光度超新星光度曲線を説明出来るとして主張されていたモデルを詳細に検討し、そのモデルの弱い点を示し、そのモデルの適用可能な範囲を明確にした。さらに超光度超新星多次元光度曲線モデル作りに着手した。超光度と呼ばれるほど明るくはならないが、多くの超光度超新星と同じスペクトル型をもつIIn型超新星について、解析的な光度曲線モデルを作った。観測された光度曲線を解析モデルを用いてフィットすることで、IIn型超新星の爆発直前の星周物質に対して強い制限を与えられることを示した。この解析モデルを多くのIIn型超新星に当てはめることで、超光度超新星に似たIIn型超新星の正体に迫れる。また、今年度は超光度超新星の親星として主張されているが、理論的には爆発しないと思われていた高輝度青色激変星の超新星親星モデルが提唱された(Groh et al. 2013)。このモデルが実際にどのような超新星になるかを調べた。残念ながら超光度超新星にはならないことが判明したが、IIb型超新星に見られる電波光度曲線の突発的な光度上昇を自然に説明できることが判明した。観測的アプローチの面では、高赤方偏移超光度超新星を発見が期待され、初期宇宙での星形成史を明らかにできるすばる望遠鏡Hyper Suprime-Camでの大規模サーベイのプロポーザル及びホワイトペーパー作りに協力した。すばる望遠鏡での大規模サーベイに加えて、このサーベイで見る予定の天域をSpitzer宇宙望遠鏡を用いて近赤外域で観測する計画が持ち上がった。Spitzer宇宙望遠鏡で計画された観測でも超光度超新星の観測可能性があるため、プロポーザル作成に協力した。このプロポーザルは承認され、現在観測が始まったところである。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿い、今年度中に達成する予定だった内容を達成できた。
IIn型超新星の理論モデルを多くのIIn型超新星に適用することにより、IIn型超新星周りの星周物質の統計的性質を得る。これにより、IIn型超新星や非常に明るい超新星を起こす星周物質の性質を得る。得られた物理状況やその多様性を元にIIn型超新星と非常に明るい超新星の親星を突き止める。さらに、非常に明るい超新星の多次元輻射流体力学計算を行い、光度曲線への効果を調べる。また、すばる望遠鏡、スピッツァー望遠鏡での観測を推進する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件)
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 428 ページ: 1020-1035
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The Astrophysical Journal Letters
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