研究課題
今年度は、昨年度中に定式化した、超光度超新星の一部が属するIIn型超新星と呼ばれる超新星に適用出来る解析的な光度曲線の論文を仕上げ、出版した。さらに、この光度曲線モデルを多くの観測されたIIn型超新星に当てはめることで、IIn型超新星の親星の爆発直前の質量放出の様子を統計的に調べた。これにより、IIn型超新星の親星は、その爆発の瞬間に近づくにつれて質量放出率が大きくなる傾向がありそうであることを示した。大質量星の爆発はその中心が潰れることによって引き起こされるが、大質量星の質量放出は星の表面で起っていることであり、従来の恒星進化理論ではこの2つの現象が関わりを持つとは考えられて来なかった。しかし、超光度超新星を形作るIIn型超新星の親星の示す非常に大きな質量放出が、実はその中心の進化と関係している可能性を示した。さらに、この2つの現象を結びつけた質量放出のメカニズムとして、大質量星の進化末期に顕著になる、星の中心からの膨大なニュートリノ放出が原因となる大質量星の質量放出メカニズムを提唱した。他にも、大質量星の外層が爆発直前に不安定になる可能性に着目し、その不安定性によって爆発直前に超光度超新星を生み出す高密度星周物質が出来る可能性を模索している。これまで作り上げて来た超光度超新星の観測可能性について、現在計画している可視光でのサーベイだけではなく、将来計画されている近赤外線によるサーベイを行うことでより遠方の超光度超新星を見つけることが可能であることを示した。本研究課題を申請した際には既に結果が出ていることが予想されていた、すばる望遠鏡の新観測装置HSCでの可視光を用いた超光度超新星の探索は、計画の遅れにより今年度末にちょうど始まった。観測が行われることは決まっているので、今後数年のうちに高赤方偏移超光度超新星の観測結果が得られると考えられる。引き続き観測に携わり、初期宇宙における星形成史への制限を観測的に与えて行きたい。
(抄録なし)
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