研究課題
パーキンソン病(PD)の原因遺伝子産物PINK1とParkinの解析によるPDの発症メカニズムの研究において、ミトコンドリア品質に関わる両タンパク質の機能に注目が集まっている。PINK1はタンパク質リン酸化酵素、Parkinはユビキチン連結酵素(E3)として知られている。PINK1とParkinの作動機構や神経細胞での機能発現に関しては不明な点が残されている。今年度の研究では、PINK1がミトコンドリア膜電位の低下した不良ミトコンドリア上で複合体を形成することで、PINK1の分子間リン酸化が促進することが示唆された。また、この複合体形成は多くのPD患者由来の変異体PINK1で、異常が生じていることが示された。このPINK1の複合体形成とリン酸化による活性化はParkinのリン酸化を引き起こし、Parkinの不良ミトコンドリアへの局在化と活性化を促進する。この時のParkinの活性化はRBR型E3に見られる特徴的な様式であり、自身のシステイン残基を仲介しながらユビキチンを基質へ付加していた。これまでに、Parkinの不良ミトコンドリアへのユビキチン化はユビキチン認識タンパク質(p62, VCP)をリクルートすることが知られている。さらに今年度の研究でVCPのリクルートにはVCPのコファクターが必要であることとVCPの疾患関連変異がミトコンドリアへの局在化の阻害を受けていることが明らかとなった。一方で、PINK1とParkinの翻訳後修飾やシステインを介したParkinの活性化機構はマウス由来の初代神経細胞でも再現された。
1: 当初の計画以上に進展している
(抄録なし)
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