• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

ヒト主要組織適合複合体の揺らぎと細胞の抗原提示能に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J06193
研究機関東京大学

研究代表者

谷中 冴子  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードヒト主要組織適合複合体 / NMR / 緩和分散法 / 動的構造解析
研究概要

生体防御において重要なHuman Leukocyte Antigen(HLA)は、Cytotoxic T Lymphocyte(CTL)上のレセプター(TCR)に様々な抗原ペプチドを提示し、ペプチド特異的にCTLの感染細胞殺傷能を活性化する。我々は抗原ペプチドによるHLAの安定性の調節がHLAのCTL活性化能と関連があることを明らかにしてきたが、さらに、抗原ペプチドがHLA全体の動的構造変化に及ぼす影響を解明することで安定性創出の原理を明らかにするべく、重鎖の揺らぎをNMRにより測定した。
一年目の目標であった、NMRの測定に耐えうる高収量のHLAの獲得が達成された。また動的構造解析を行うための緩和分散法による測定、シグナル帰属用の三次元測定も達成された。そして、当初は安定型のHLAを形成するペプチド複合体についてのみ測定を行う予定であったが、不安定型のHLAについても測定を進めることができた。
円偏光二色性を用いたTmの解析によって、それぞれ安定、不安定とされている、二つのペプチドHLA複合体について動的構造解析を行ったところ、図のマゼンタで示される残基において、揺らぎが観測された。二つに共通することとして、ペプチドと重鎖が結合する溝内に揺らぐ残基が集中していた。特に、ペプチド認識に重要である二位と末端の認識に関わる残基が揺らいでいることが明らかとなった。一方、二つの構造の差異として、より安定な複合体であると報告されているペプチドHLA複合体の方が、多くの残基が揺らぐことが確認された。HLAはより多くの残基を揺らがせることで耐震建築のように、外部から受けるエネルギーを発散し、安定化すると示唆される。より具体的に安定化のメカニズムを明らかにするためには、さらに緩和分散法を用いて、揺らぎの温度変化測定等を行う必要があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初予定していた安定型のHLAに対してのみならず、不安定型にも動的構造解析を適用し、二者の比較からHLAの安定性制御に関する新規な知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

物理化学的な解析において重要な知見を得ることができ、重点的に測定と解析を進めてきたため、もう一つの目標である、細胞上でのHLAの挙動を観察し、物理化学的な性質と結びつける研究関しては現在進めることができていない。2年目はこちらについても進めて行きたいと考える。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Interleukin-11 Links Oxidative Stress and Compensatory Proliferation2012

    • 著者名/発表者名
      Nishina T, Komazawa-Sakon S, Yanaka S, Zheng X, Palo J, Kojima Y, Yamashina S, Sano E, Putoczki T, Doi T, Ueno T, Ezaki J, Ushio H, Ernst M, Kouhei T, Okamura K, Nakano H
    • 雑誌名

      Science Signal

      巻: 5 ページ: Ra5

    • DOI

      DOI:10.1126/scisignal.2002056

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト主要組織適合複合体(HLA)の揺らぎが傷害性T細胞(CTL)に与える影響について2011

    • 著者名/発表者名
      谷中冴子・菅瀬謙治・上野貴将・津本浩平
    • 学会等名
      第11回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      ホテル阪急エキスポパーク
    • 年月日
      20110607-20110609
  • [学会発表] Targeted glycosylation of "non-core region" of Interleukin 11 modulates its biological function2011

    • 著者名/発表者名
      Saeko Yanaka, Emiko Sano, Norio Naruse, Jose M.M.Caaveiro, Tsu-moto Kouhei
    • 学会等名
      Immunology 2011
    • 発表場所
      Moscone Center (San Francisco, U.S.A.)
    • 年月日
      20110513-20110517

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi