研究課題/領域番号 |
11J06270
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
原 範之 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 有機触媒 / ヘテロアレーンスルホニル基 / 分子内水素結合 / 脱炭酸マンニッヒ型反応 / 不斉四置換炭素 |
研究概要 |
近年、不斉有機触媒の開発が非常に広範囲に研究されているものの、以前に研究代表者が行ったような配位性官能基の導入による高機能性の発現を目指す不斉触媒の開発はあまり行われていなかった。そこで不斉有機触媒のさらなる高機能化を目指し、これまでに開発したヘテロアレーンスルホニル基を有するスルホンイミド型触媒の分子内相互作用の概念を他の不斉触媒に組み込むことによる機能性の向上を目指し、研究を行った。本研究の過程で、有機触媒を用いるイサチン類に対するマロン酸ハーフチオエステルの脱炭酸型アルドール反応を検討し、初のケトン類に対するエナンチオ選択的な反応の開発に成功するとともに、生理活性物質として期待される(-)-Fulastraminol Bへの誘導も行った。本研究は、論文投稿を始め学会でも高い評価を得ており、学会発表賞を受賞した。さらに研究を推し進め、キナアルカロイド類に対する分子内配位触媒の概念導入を行った。キナアルカロイド類に対するヘテロアリールスルホニル基の導入は世界初の試みであり、さらにこれまで困難とされていたケチミン類に対する脱炭酸型マンニッヒ反応に適用したところ、高いエナンチオ選択性で目的とするアミノオキシインドール骨格の合成に成功し不斉四置換炭素を構築することができた。本反応の有用性を示す例として、逆流性食道炎改善薬として期待される生理活性物質AGO41Rへの誘導も効率的に行い、特許取得及び論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の仮説通り、新規の分子内配位型触媒を合成しこれまでに困難とされてきたケチミン類に対する不斉反応に適用したところ効率的に反応を進行させることができた。さらに有用な医薬品候補化合物へも誘導することができた点も評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
分子内配位型触媒の活性化能の一端を示すことができたため、引き続き触媒の合成に注力する。また合成した触媒の活性化能を見るため医薬品合成に繋がるにも関わらずこれまでに高い立体選択性が得られていない四置換不斉炭素構築に焦点をあてケチミン,ケトン-イサチン類に対する不斉反応を中心に展開する予定である。
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