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2012 年度 実績報告書

DNAバーコードによる東南アジア非季節性熱帯林の植物-植食者群集の構造特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J06333
研究機関東京大学

研究代表者

岸本 圭子  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)

キーワードDNAバーコーディング / 東南アジア / 非季節性熱帯林 / 植食性昆虫 / 群集構造 / 寄主植物 / 相互作用 / 昆虫群集
研究概要

本研究は、昆虫の体内から寄主植物のDNAを抽出し、DNAバーコーディングによって、東南アジア非季節性熱帯林の植物-植食性昆虫の相互関係と、その関係を形成する要因の解明を目指す。昆虫の胃内容物に残った少量の寄主植物DNAを同定する技術には問題点が多く、こうした技術をもとに植食者と植物関係を明らかにした研究はこれまでほとんどなかった。そこで平成23年度は、技術的な問題を解決し、新しい実験プロトコールを確立した。また、調査地で、植食性昆虫(ハムシ科成虫)の集中的なサンプリングを実施した。平成24年度は、その実験プロトコールをもとに、集めたハムシ科成虫約100個体の寄主植物DNAの抽出・解析を行った。さらに、既存のDNAリファレンスデータベースを使って、得られた植物塩基配列がどの植物ファミリーに属するのかを調べ、ハムシ科1種が利用する植物ファミリーの幅を推定した。その結果、ハムシ科11種のうち9種で、複数の植物ファミリーを餌植物として利用していることを明らかにした。特に多い種では、少なくとも11科の植物種を利用していることが示され、先行研究でわかっている広食性昆虫(2~3科の植物を利用)と比べても顕著に多い植物を利用していることがわかった。熱帯ではこれまで植食者は寄主植物に特殊化していると考えられてきたが、本研究によって、従来の定説を覆す実証データを示すことができた。また、これらの成果を学会で発表するとともに、投稿論文にまとめた。
記事が公表されれば、熱帯林の植物-植食性昆虫関係の維持や形成に関わるメカニズムに新しい視点をもたらすと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は、調査地で集めた昆虫サンプル約100個体を使って、寄主植物DNAの抽出・解析・同定を行った。また、得られた成果を学会で発表したほか、投稿論文にまとめ、計画どおり課題を遂行した。

今後の研究の推進方策

平成24年度に実施した実験によって、従来の定説を覆すような研究成果を得たとともに、23年度に確立した実験プロトコールの有効性を実証することができた。今後は、これらの成果の公表を積極的に行う。また、残りの課題である東南アジア非季節性熱帯林の植物-植食性昆虫の相互関係の形成要因を解明するため、解析に必要な植物や昆虫の生態的特性データを所持している国内外の共同研究者と研究打ち合わせを綿密に行いデータの入手を円滑に進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Seasonality in phytophagous scarabaeid (Melolonthinae and Rutelinae) abundances in an 'aseasonal' Bornean rainforest2013

    • 著者名/発表者名
      K. Kishimoto-Yamada, T. Itioka
    • 雑誌名

      Insect Conservation and Diversity

      巻: 6 ページ: 179-188

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1752-4598.2012.00201.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tree community structure, dynamics, and diversity partitioning in a Bornean tropical forested landscape2013

    • 著者名/発表者名
      M. Nakagawa, K. Momose, K. Kishimoto-Yamada, T. Kamoi, H. O. Tanaka, M. Kaga, S. Yamashita, T. Itioka, H. Nagamasu, S. Sakai, T. Nakashizuka
    • 雑誌名

      Biodiversity and Conservation

      巻: (印刷中)

    • DOI

      DOI:10.1007/s10531-012-0405-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of remnant primary forests on ant and dung beetle species diversity in a secondary forest in Sarawak, Malaysia2013

    • 著者名/発表者名
      K. Kishimoto-Yamada, F. Hyodo, M. Matsuoka, Y. Hashimoto, M. Kon, T. Ochi, S. Yamane, R. Ishii, T. Itioka
    • 雑誌名

      Journal of Insect Conservation

      巻: (印刷中)

    • DOI

      DOI:10.1007/s10841-012-9544-6

    • 査読あり
  • [学会発表] DNAバーコーディングによる植食性昆虫ホストレンジの解明2013

    • 著者名/発表者名
      岸本圭子
    • 学会等名
      日本生態学会第60会全国大会
    • 発表場所
      静岡県コンペンションアーツセンター
    • 年月日
      2013-03-07
  • [学会発表] 植食性甲虫ハムシ科成虫の季節性-温帯と東南アジア熱帯の比較-2012

    • 著者名/発表者名
      岸本圭子
    • 学会等名
      日本昆虫学会第72回大会
    • 発表場所
      神奈川県 玉川大学
    • 年月日
      2012-09-17

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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