研究概要 |
(1)装置の低温化・高分解能化 23,24年度の研究において冷却性能1K、最高分解能70μeVを達成し、25年度は物性研究を中心に行ったため更なる低温化・高分解能化は行っていない。 (2)鉄系超伝導体Ba1-xKxFee2As2オ-バードープ試料の超伝導ギャップ異方性の観測 23,24年度の研究成果から、鉄系超伝導体Ba1-xKxFee2As2のオーバードープ領域においては、わずかなKドープ量の変化によって観測される超伝導ギャップ異方性が劇的に変化することを解明した。25年度はこのオーバードープ領域における超伝導ギャップ異方性の変化をより詳細に研究し、この系においては、鉄系超伝導体の非従来的な超伝導機構として提唱されているスピン揺らぎを媒介とした超伝導機構と軌道揺らぎを媒介とした超伝導機構の両方が重要であることを示した。 (3)重い電子系超伝導体CeCoIn5の超伝導ギャップ観測 昨年度までの装置開発の結果、十分な冷却性能と分解能を達成したので、重い電子系超伝導体CeCoIn5の超伝導ギャップ観測を試みた、結果、フェルミ面依存性のある異方的な超伝導ギャップの観測に成功した。 (4)8eVレーザーの導入 我々の研究グループは、東京大学物性研究所小林研究室との共同研究で、8eVレーザーの開発を行っている。昨年度は、(1)の7eVレーザーを用いた新型装置に8eVレーザーを組み込んだ。今年度は、この8eVレーザーを用いて、鉄系超伝導体Ba1-xKxFee2As2のブリルアン・ゾーンコーナー近傍にホールポケットの観測を試み、結果、フェルミ面及びその超伝導ギャップ観測に成功した。
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