• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

海馬神経細胞の形態制御におけるRac1活性化因子Dock4の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 11J06767
研究機関京都大学

研究代表者

上田 修平  京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード海馬神経細胞 / 樹状突起スパイン
研究概要

神経ネットワークは、神経細胞が軸索と樹状突起を伸ばし、ターゲット細胞とシナプス接続を行うことで形成され、外界からの刺激に応答して活動依存的に変化し、調節されている。この神経ネットワークの形態形成時の異常、変性は、神経発達障害や神経変性疾患と深く関わっており、形態形成のメカニズムを分子レベルで解明していくことは、これらの疾患発症の原因の究明、新しい治療法の確立に大きな意味を持つと考えられる。本研究ではrhoファミリーGタンパク質Raclの活性化因子であるDock4に焦点を当て、神経細胞の形態形成における機能について調べていくことを目的としている。
我々はこれまでに、Dock4が海馬に強く発現しており、シナプス形成の行われる発達後期に発現量が増加することを発見した。また、スクリーニングを行い、アクチン骨格制御因子であるCortactinと結合することを明らかにし、Dock4と
Cortactinがシナプス後部構造体の樹状突起スパインに共局在していることも明らかにした。
本年度は、海馬神経細胞にshRNAを導入しDock4のノックダウンを行ったところ、スパイン形成が抑制された。ここにshRNA耐性のDock4を戻すことで、スパイン形成は回復したが、Rac1を活性化できない変異体ではスパイン形成は抑制されたままであった。このこどから、Dock4によるRac1活性化がスパイン形成に重要であることが示唆された。また、Cortactinとの結合領域を欠損した変異体を戻したところ、フィロポディアの数が増加し、この変異体はスパインへ局在できないこともわかった。このことから、Dock4はCortactinと結合することでスパインへ局在化し、スパインの成熟に関わっていることも示唆された。さらに、海馬神経細胞にMDA刺激を行うと、Dock4はCortactinとの結合を維持したまま、スパインへの局在が失われた。このことから、Dock4は神経活動依存的に局在を変化させており、神経ネットワークの変化にも関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

培養海馬神経細胞を用い、樹状突起スパイン形成におけるDock4の必要性と制御メカニズムを明らかにした。またDock4とCortactinについて、上流のNMDA刺激によって結合を維持したまま局在を変化させることを示した。

今後の研究の推進方策

神経細胞でのDock4によるRac1の活性調節について、NMDAを含めた上流からの制御機構を明らかにしていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] The Rac-specific GEF Dock4 controls dendritic spine formation in hippocampal neurons2011

    • 著者名/発表者名
      Shuhei Ueda, Manabu Negishi, Hironori Katoh
    • 学会等名
      Neuroscience 2011 (SOCIETY for NEUROSCIENCE)
    • 発表場所
      Washington Convention Center (USA)
    • 年月日
      2011-11-14
  • [学会発表] 海馬ニューロンの樹状突起スパイン形成におけるRac活性化因子Dock4の役割2011

    • 著者名/発表者名
      上田修平、根岸学、加藤裕教
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2011-09-24
  • [学会発表] The Rac activator Dock4 regulates dendritic spine formation in hippocampal neurons2011

    • 著者名/発表者名
      上田修平、根岸学、加藤裕教
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-09-17

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi