研究課題
本研究の目的は、アンダマン海産特殊海産物(自家消費を目的としない、主に華人市場を最終目的地とした南海産品)をめぐるヒトとモノの動態を、生態史という観点から明らかにするものである。研究をすすめるにあたって、アンダマン海において特殊海産物を採るモーケンの人びとによる資源利用の実態、モーケンと華人の仲買人との間で行われる特殊海産物売買の過程、国内外の華人市場における特殊海産物の消費の様態という3点に着目し、研究課題に取り組んでいる。本年度の研究成果は(1)特殊海産物のリスト作成と(2)特殊海産物の売買価格の整理作業の2点に集約される。(1)に関しては、これまでにもフィールドワークを実施してきたタイ王国パンガー県スリン諸島を訪れ、モーケンが採捕する特殊海産物の一覧表を作成した。また、ナマコを中心とする一部の特殊海産物については、学名との同定作業も実施した。(2)に関しては、モーケンが採捕する各種特殊海産物の、仲買人による買い取り価格を表にして整理した。夜光貝などの一部の特殊海産物については、2011年度における買い取り価格だけでなく、1990年代以降の買い取り価格を年代ごとにまとめた。今後は、本年度にリストアップした特殊海産物一覧表をもとに、モーケンによる特殊海産物の採捕のあり方を調べることと、特殊海産物の売買が行われる現場に立ち会い、具体的な取引の過程を明らかにする必要がある。また、華人市場における特殊海産物の価格調査を実施することで、いまだ不明な点が多い、生産・流通・消費という一連の過程における、特殊海産物をめぐるローカルとグローバルの関係性を考察することができる。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、特殊海産物の生産・流通・消費という一連の過程における、生産と流通に関係する基礎的資料を整理することができたため。
今後は、特殊海産物の生産・流通・消費という一連の過程における、生産と流通の実態の解明に向けたフィールドワークを実施する必要がある。その際、生産に関しては、モーケンが行う漁撈活動に同行し、流通に関しては、華人の仲買人への聞き取りを行う。また、消費に関するデータについては、タイの華人市場における販売価格の調査を行う。
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