研究課題/領域番号 |
11J06948
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鈴木 佑記 早稲田大学, アジア研究機構, 特別研究員(PD)
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キーワード | アンダマン海 / モーケン / 特殊海産物 / 華人 / ナマコ / グローバリゼーション |
研究概要 |
本研究の目的は、アンダマン海産特殊海産物(自家消費を目的としない、主に華人市場を最終目的地とした南海産品)をめぐるヒトとモノの動態を、生態史という観点から明らかにするものである。研究をすすめるにあたって、アンダマン海において特殊海産物を採るモーケンの人びとによる資源利用の実態、モーケンと華人の仲買人との間で行われる特殊海産物売買の過程、国内外の華人市場における特殊海産物の消費の様態という3点に着目し、研究課題に取り組んでいる。 本年度の成果は、タイ最大の華人市場であるヤワラート(中華街)における調査に集約される。具体的には、中華街内で特殊海産物を扱う商店(卸売商店含む)の分布を地図化し、取り引きされる特殊海産物の一覧表を作成した。なかでもナマコに注目し、生食されるものと乾物で輸出されるものの種類と値段を表にまとめた。タイ南部からではなく、香港や日本から輸入される特殊海産物が比較的多く商品として扱われている事実は新しい発見であった。 その他、モーケンと華人系仲買人との間で交わされる特殊海産物が取り引きされる過程についても調査を行い、昨年度も実施した各種特殊海産物の華人系仲買人による買い取り価格を表にして整理した。今後、タイ以外の華人市場における特殊海産物の価格調査を実施することで、いまだ不明な点が多い、生産・流通・消費という一連の過程における、流通と消費のグローバルな側面を明らかにすることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、特殊海産物の生産・流通・消費という一連の過程における、流通と消費(特にタイ国内)に関係する基礎的資料を整理することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、特殊海産物の生産・流通・消費という一連の過程における、海外の流通と消費の実態の解明に向けたフィールドワークを実施する必要がある。その候補地として香港とシンガポールを予定している。流通に関しては華人の仲買人への聞き取りを行い、消費に関するデータについては華人市場における販売価格の調査を行う。
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