研究課題/領域番号 |
11J06966
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
稲垣 貴弘 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 重力波 / 銀河形成 / 構造形成 / 数値シミュレーション |
研究概要 |
24年度は銀河衝突による宇宙背景重力波を求め、現在までにどのような銀河衝突の歴史をたどれば、どのような重力波が発生するのか、ということ解明することを目標に研究した。本研究のベースは修士2年の時に解明した1回の銀河衝突からの重力波である。それを基に全宇宙で起こってきた銀河衝突からの重力波、すなわち宇宙背景重力波を準解析的な手法を用いる事で計算した。準解析的な手法とは解析な式と乱数を用いたモンテカルロ法を組み合わせることである。この手法を用いる事で、銀河衝突期起源の重力波はΩ=1e-19であると計算する事が出来た。また、この重力波は宇宙論的な波長を持った重力波であることから、直接観測は困難であると考えられる。そこで、宇宙マイクロ波背景輻射(CMB)のB-modeを用いた観測が有効であると考えられる。このB-modeは未だ発見されていないが、将来観測でB-modeの源を正確に決めるためには私が計算した宇宙背景重力波を考慮に入れなければいけないことも評価した。さらに、以上の研究結果を論文にまとめ、Physical Review Dに投稿した。この論文は既にアクセプトされている。また上記の研究で学んだシミュレーション手法や銀河形成の知識をもとに、大質量銀河団の中心に位置すると考えられるBrightest-Cluster-Galaxy(BCG)の形成過程を数値シミュレーションで再現するという新しいプロジェクトもスタートしている。具体的には、宇宙論的シミュレーションにバリオンを入れる事で銀河の形成過程を大スケールで解明しようとしている。このシミュレーションを解析した結果、質量の小さな銀河とBCGでは、形成過程が異なる事がわかった。質量の小さな銀河はminor mergerが少ないが、BCGの形成過程では非常に多くのminor majorが起こっている事を初めて解明した。これらの研究結果は、日本天文学会秋季年会で口頭発表した。上記のように、昨年度は論文発表、新しいプロジェクトのスタート、学会発表と積極的に研究活動を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定である準解析的な方法で宇宙背景重力波を計算し、論文を作成した。この論文は24年度中に査読にも通った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で学んだ、銀河衝突を数値シミュレーションを用いて評価するというノウハウを生かし、大規模なスケールでの銀河形成を評価しようとしている。
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