研究課題/領域番号 |
11J07015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥村 優子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 乳児 / 社会的学習 / 視線追従 / ヒューマノイドロボット / アイトラッキング |
研究概要 |
乳児はどのようにして、複雑な世界から有益な情報を獲得していくのだろうか?近年、発達初期におけるコミュニケーションに基づいた他者からの学習メカニズムについて注目が集まっている(ナチュラル・ペダゴジー理論)。その中で、本研究は、乳児が他者からいかに効率的に情報を獲得するかといった社会的学習のメカニズムを実証的に検討することを目的とした。 研究1では、社会的学習の対象となるエージェントそれ自体が乳児の学習にもたらす影響を検討するために、12ヶ月児を対象に、ヒトとロボットの視線が乳児の物体学習に与える影響を比較した。乳児は両エージェントの視線方向を追従したが、ヒトの視線を追従したときのみ物体学習が促進されることが示された。本研究の結果は、乳児にとって、ヒトの視線は特異的なものであり、さらにエージェントとしてのヒトの特殊性を示唆するものである。 研究2では、ヒトとロボットからの影響の差異を探るために、それらエージェントの視線に帰属する参照的性質に関して検討を行った。具体的には、視線を追従する際、その先に参照物を見つけることを期待するかどうかについて、ヒトとロボットの視線からの影響を比較した。12ヶ月児はヒトの視線の先に物体が現れることを予測したが、ロボットの視線にはそのような予測をしなかった。本研究の結果は、乳児はヒトの視線にのみ参照的期待を持つことを示唆している。 研究3では、ロボットにコミュニカティブな手がかりとして音声手がかりを付与することによって、乳児がロボットの視線から学習する可能性を検証した。ロボットに音声発話を付与することで乳児のロボットに対する視線追従が促進され、さらに音声発話を加算的に付与することで、ターゲット物体に対する情報処理の促進効果が示された。音声発話が付与されたロボットは、乳児の学習に影響を与えるようになる可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
乳児の社会的学習に関する研究において、研究成果を国内外の学会で発表した。また、平成24年度は、3本の論文を一流の国際誌に投稿し、そのうちの2本の採択が決定した。また、来年度の国際学会において発表が採択されている。したがって、平成24年度は、計画以上の研究の進展があったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
投稿中の論文を、平成25年度中に刊行されるようにし、また残りの研究も国際誌に投稿できるようにする。
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