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2011 年度 実績報告書

核内コリプレッサーによるサイトカインシグナル伝達制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J07059
研究機関北海道大学

研究代表者

研 澄仁  北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC2)

キーワードKAP1 / TNF-α / NF-κB / STAT3 / サイトカインシグナル
研究概要

【研究目的】IL-6やTNF-αは炎症性サイトカインとして知られ、関節リウマチや炎症性腸疾患といった自己免疫疾患、癌など様々な疾患の原因分子として注目されている。またサイトカインは受容体を介して細胞内シグナルを活性化し、標的遺伝子の発現を誘導することでその生理活性を発現する。この細胞内シグナルはサイトカインによって異なり、IL-6の場合はJak/STAT3シグナルを、TNF-αの場合はNF-κBシグナルを用い様々な遺伝子の発現を制御している。当研究室では、このSTAT3、NF-κBに対する新規結合分子として、核内コリプレッサーKAP1/TIF1β/TRIM28を同定した。本研究の目的はIL-6/STAT3ならびにTNF-α/NF-κBシグナルにおけるKAP1の機能を解析することで、サイトカインシグナル制御因子としてのKAP1の新しい機能を明らかにするとともに、IL-6やTNF-αシグナルの新たな制御機構を明らかにすることである。
【研究成果】本年度はTNF-α/NF-κBシグナルにおけるKAP1の機能解析を中心に研究を進めた。これまでに「KAP1がTNF-α/NF-κBシグナルを負に制御する」こと、またその制御機構として「KAP1がp65のアセチル化を減弱させ、p65の核外排出を促進させること」をすでに明らかとしており、今回さらにそのp65のアセチル化制御機構について詳細な解析を行った。そして「TNF-α依存的なp65のアセチル化には、STAT3によるアセチル基トランスフェラーゼp300のリクルートが必要なこと」、「TNF-α刺激によりSTAT3はセリンリン酸化を受け活性化すること」などを明らかとし、KAP1はSTAT3の活性を阻害することでSTAT3を介したp65のアセチル化を制御する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究目的はKAP1によるIL-6/STAT3ならびにTNF-α/NF-κB両サイトカインシグナル制御機構の解明である。本年度の結果から、TNF-α/NF-κBシグナルにおけるKAP1の制御機構解析が大きく進んだ。またその過程で、TNF-α/NF-κ8シグナルにおいてSTAT3が重要な役割を担う可能性が示唆され、そのSTAT3の役割に対する詳細な解析を行うことでKAP1のIL-6/STAT3シグナルに対する制御機構の解明も大きく進むものと考えられる。

今後の研究の推進方策

KAP1によるサイトカインシグナル制御機構の解析をさらに進めると共に、今後はin vivoでの実験を通してサイトカインシグナルにおけるKAP1の生理的意義を解析する予定である。そのため、コンディショナルノックアウトマウスを作成し、サイトカインシグナルの異常が関わる疾患モデルにおいてKAP1の役割を解析していくことが必要だと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Zipper-interacting protein kinase (ZIPK) modulates canonical Wnt/beta-catenin signaling through interaction with Nemo-like kinase and T-cell factor 4 (NLK/TCF4)2011

    • 著者名/発表者名
      Togi S, Ikeda O, Kamitani S, Nakasuji M, Sekine Y, Muromoto R, Nanbo A, Oritani K, Kawai T, Akira S, Matsuda T
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 286(21) ページ: 19170-7

    • DOI

      10.1074/jbc.M110.189829

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Kruppel-associated box-associated protein 1 negatively regulates TNF-α-induced NF-κB transcriptional activity by influencing the interactions among STAT3, p300, and NF-κB/P652011

    • 著者名/発表者名
      Kamitani S, Togi S, Ikeda O, Nakasuji M, Sakauchi A, Sekine Y, Muromoto R, Oritani K, Matsuda T
    • 雑誌名

      J Immunol

      巻: 187(5) ページ: 2476-83

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1003243

    • 査読あり
  • [学会発表] KAP1/STAT3によるTNF-α誘導性IL-6発現経路の制御機構2012

    • 著者名/発表者名
      〓澄仁、室本竜太、松田正
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] Kruppel-associated box-associated protein 1 regulates TNF-α-induced IL-6 expression via STAT32011

    • 著者名/発表者名
      TOGI Sumihito, MUROMOTO Ryuta, SEKINE Yuichi, MATSUDA Tadashi
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉市)
    • 年月日
      2011-11-29
  • [学会発表] Zipper-interacting Protein Kinase (ZIPK)によるWnt/β-cateninシグナル制御機構の解析2011

    • 著者名/発表者名
      〓澄仁、中筋美沙、室本竜太、松田正
    • 学会等名
      第48回日本生化学会北海道支部例会
    • 発表場所
      札幌医科大学(札幌市)
    • 年月日
      2011-08-05

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公開日: 2013-06-26  

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