研究課題/領域番号 |
11J07100
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂井 公紀 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | アミロイド / ナノワイヤー / ナノマテリアル / 自己組織化 / ペプチド / イオンモビリティ |
研究概要 |
機能化ナノワイヤーを基盤としたナノデバイス創製に、アミロイドペプチドの自己組織化能は有用である。これまでに、N末端に3残基アミノ酸ユニットをもつStructure-Controllable Amyloid Peptide(SCAP)を開発し、複数のSCAPをヘテロ混合する混合SCAP法によるアミロイド線維形成の制御および効果的なナノワイヤーの機能化を可能にしている。ナノデバイス創製には、このような自己組織化め制御に基づく『機能性ナノ回路の作製法』の開発が不可欠である。このため、本研究では、より高度な線維形成の制御を目指し、混合SCAP法の線維形成メカニズムの解析を実施している。これまでに、混合SCAP法により線維形成の著しい促進が起こること、また、この伸長促進効果が核形成に依存しないことを明らかにしている。そこで、本年度は、混合SCAPがペプチドの基本的な自己組織化特性に与える影響を明らかにするため、線維形成の初期過程であるオリゴマー形成の特性について、イオンモビリティ-質量分析法(IM-MS)を用いた解析を実施した。その結果、混合SCAPは、優先的なヘテロオリゴマー形成によって、単独よりも高次のオリゴマーの形成能をもつことが示された。さらに、混合SCAPのオリゴマー構造は、単独とは大きく異なり、ダイマーレベルから伸展した平行線維型構造を形成可能であることが明らかになった。このことから、混合SCAPがペプチドの自己組織化特性を大きく変化させることで、オリゴマーレベルから巨視的線維レベルまでの自己組織化過程全体を制御しているという新規メカニズムを提唱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期の自己組織化過程であるオリゴマー形成を解析し、混合SCAPがペプチドの自己組織化特性そのものを大きく変化させることで、自己組織化過程全体を制御するという新規メカニズムを提唱した。
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今後の研究の推進方策 |
線維形成過程に起こる構造変化についての詳細な解析を実施する。これにより、混合SCAPの自己組織化過程の制御メカニズムの解析を行う。さらに、ナノ回路作製を目指した、線維のパターン化法の開発についても検討する。
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