研究概要 |
本研究は幹細胞を酸素濃度勾配下に暴露するデバイスを構築し, 幹細胞の分化誘導の様子を観察し, さらに深い幹細胞分化の知見を得ることを目的とするものである. 生体内では幹細胞, 癌細胞ともに常に酸素濃度勾配下にさらされている. しかしながら, 現在の細胞実験系では, 一定状態のある酸素濃度における細胞反応を観察している. そこで本研究では, 昨年度, システムの一部構築を試みたが, 流量制御などにおいて十分な制御性を確立することができなかった. その結果として, 実験系の再現性を確保できなかった. 本研究は幹細胞を使用し分化制御を行う関係上, 流量の安定性による再現性の確保は急務であり, 重要な案件であった. そこでカリフォルニア大学バークレー校Ali Javey研究室にてセンサの構造・構築の研究に従事した. Ali Javey研究室は米国内及び世界的に, センサ研究の先端をゆく研究室であり, 多くの高度なセンサに関する論文を多数掲載している. その研究室で, 高いSensitivityを持つ物理センサの開発に従事した. その結果, まず一段階として, Bendingセンサの研究を行った. これは将来的に流量によるPDMSの変形を感知できるセンサに応用でき、その基礎検討として本研究を行った. 結果, 従来を高く上回る感度でBendingを検知できるセンサを開発し, 国際論文に採用された. 今回は本格的にシステムの中に組み付ける段階まで至らなかったが, 今後, PDMSマイクロ流路外に本機構を組み付けてガス, 流量制御を行いシステムを完成させたいと思う.
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