研究課題/領域番号 |
11J07372
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
石塚 匠 独立行政法人理化学研究所, 核酸合成生物学研究チーム, 特別研究員(PD)
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キーワード | クリック化学 / 人工塩基対 / 転写 / T7 RNAポリメラーゼ / 蛍光性クリック反応 / アジド置換クマリン / 部位特異的ラベリング / tRNA |
研究概要 |
目的は、申請者のこれまでの知見を応用し、生体内の遺伝子レベルでの制御機構を化学的手法により、解明することである。そのひとつとして申請した研究は、PNAの特長を利用した二本鎖DNA中の標的配列の両鎖を同時に認識する新規認識系の構築に関する研究である。標的配列としては二本鎖DNA中のガン関連遺伝子のプロモーター部位とし、その配列を高効率的に認識することを遂行した。この部位に対して、設計されたPNAを用い、標的配列中のDNAとの分子間でグアニン四重鎖構造を形成させ、その部位を位置選択的に認識することを目標とした。実際の検討では、設計通りに高効率的な認識を1種類の単純な8量体のPNAで実現した。さらに本認識手法とCe(IV)/EDTA錯体の加水分解能を併用することでプロモーター部位のみに対して二本鎖切断を導入することにも成功した。このテーマに関しての論文は現在、投稿中である。 また、蛍光性クリック反応の拡張と応用のテーマに関しては、当初の申請内容を若干、変更した。変更した点は、標的とするものを『グアニン四重鎖構造を認識する小分子』から『tRNA』とした点である。生体分子を標的とすることで、以前の標的よりもその後の発展が格段にあがるものとなっている。具体的には、当研究室で開発された第3番目の塩基対であるDs-Pa人工塩基対システムを応用し、その核酸塩基中に蛍光性クリック反応が達成できるような部位を化学的に導入し、その拡張を遂行する。ここまでの進捗状況は、まず人工塩基Paの塩基対形成に影響がない部分にエチニル基を有機合成により、調製した。さらにその基質を用いて、in vitro転写反応を介し、簡便に長鎖RNAを生成させ、それに続く蛍光性クリック反応により、位置選択的なラベリングを達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二本鎖DNA中の標的配列の両鎖を同時に認識する新規認識系の構築に関する研究については、現段階で、論文を投稿中である。しかし、この内容は細胞実験を除く化学的手法部分だけで構成されており、申請目標を達成するには、次の段階である細胞での応用実験で検証する必要がある。また、蛍光性クリック反応の拡張と応用のテーマに関しては、現段階で、in vitroでの化学的な手法の確立したところである。
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今後の研究の推進方策 |
二本鎖DNA中の標的配列の両鎖を同時に認識する新規認識系の構築に関する研究については、現段階で、論文を投稿中であるが、その手法を用いた応用実験に関しては投稿論文には含めていない。そのため、本系を用いた細胞での応用実験を行ない、申請目標の達成を目指す。また、蛍光性クリック反応の拡張と応用のテーマに関しては、現段階で、手法の確立したところであり、今後、その手法を用いて、実際に生体分子の局所的な構造の変化を追跡できる系の構築を目指す。具体的な内容については、当初の実験計画通りに、有機合成で基質を調製し、アッセイを行ない、その結果をフィードバックし、さらに利用価値のある系を目指す。
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